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組織‐1203 B能力を高める BACK

仕事の成果をもっと大きくするには、1人ひとり知識・技術・経験・感性をレベルアップしていく必要があります。そのための各社の取り組みを紹介します。

 このページの掲載事例→             ●120301 パート・アルバイトを戦力化する−1  
 ●120302 パート・アルバイトを戦力化する−2  
 ●120303 同行OJTを行なう
 ●120304 社内勉強会を開く
 ●120305 接客販売の品質をトップレベルまで上げる  
 ●120306 職場の全員にパソコンをマスターさせる  
 ●120307 創造性開発教室を開く
 ●120308 第一線監督者に問題発見と問題解決能力を身に着けさせる
 ●120309 改善道場で改善留学させる
 ●120310 ものづくり技術を伝承する
 ●120311 入社希望者に仕事の具体的イメージを体感させる
 
【120301】 パート・アルバイトを戦力化する−1  


■東京ディズニーリゾートでは来園者を「ゲスト」、お世話に当たるスタッフを「キャスト」と呼んでいる。ショップやレストラン店員も園内清掃係も、それぞれの担当業務の責任以前に「キャスト」として「ゲスト」に奉仕することを求められている。ウォルト・ディズニーは「すべての仕事はゲストのためにある」「すべてのゲストはVIPである」と言ったとされ、子どもから高齢者まで、肩書や立場に関係なく、使ってくれるお金の額に関わらず、すべてVIPとしてもてなすことが求められる。

■もうひとつ「毎日が初演」という言葉がある。やっている方は毎日同じことの繰り返しだが、ゲストは初めての人も多い。だから、毎日初演のつもりで、気持ちを新たに、それぞれの役割を演じなさいというのである。

■来園するゲストの多くがリピーターである。「また来たい」と思わせるためにゲストの反応は常にモニタリングされ、分析され、それに基づいて次々改善改革されている。ウォルト・ディズニーは「ディズニーランドは永遠に完成しない」と言ったとされる。

■東京ディズニーリゾートのキャスト2万人のうち1万7000人はパート・アルバイト。ほとんどはゲストとして受けた感動が忘れられず、今度は自分が夢と感動を与えたいと思って入社した人たちである。彼らには3日間の教育が行われるが、その概要は次の通りである。

[1日目]「すべての仕事はゲストのため」「すべてのゲストはVIP」「毎日が初演」の基本ポリシーを具体例を交えて解説する。

[2日目]アトラクション部門、レストラン部門などの担当に分かれ、座学でSCSEの行動基準を学ぶ。(SSafety安全、CCourtesy礼儀正しさ、SShowショーの品質、EEfficiency効率)

[3日目]先輩キャストについてOJT訓練を受け、その後は1人前のキャストとしてそれぞれの職場にデビューしていく。

取材先 オリエンタルランド(tanbouki 010
取材 2006/5/18
掲載 ポジティブ2006/08
本文 orientalland.pdf へのリンク

 
 
【120302】 パートアルバイトを戦力化する−2  

がんこフードサービス難波店では、新人のパート・アルバイトのレジ案内係を即戦力化するために、職場のQCサークルが次のような指導システムを作成した。

@1週間で戦力化するために7日間のトレーニングスケジュールを作り、これに基づいて担当を決めて指導することにした。
A次の事項について自分ひとりで学習できるように、マニュアルを作成した。
・「経営理念」と「接客10大用語」
・レジ案内係の立ち居振る舞い
・レジの基本操作
・レジの開店業務とレジ閉め業務
・レジ引継連絡書
・レジ周りと玄関周りのクリンネスチェック
・フロアの配置とテーブルaA定員
・案内の流れと声かけの留意点
・案内時の気配りポイント


取材先 がんこフードサービス難波本店
取材 1998/05/26
掲載 燃えよリーダー1998/08
  

 
 
 【120303】 同行OJTを行なう  


■兜髄野のクリーンサービス事業の事例。技能とCS(顧客満足)向上のために、現場社員には月1回上司が同行して現場で仕事の仕方、機器の使い方をOJT教育することにしていたが、部下が嫌がるためになかなか徹底していなかった。そこで、部下の賞与にOJT回数を反映させることにした。その結果、部下からのOJT希望が一挙に増え、部下の数を減らしてほしいという管理者が増えた。

取材先 武蔵野(tanbouki 0-1
取材 200/09/13
掲載 燃えよリーダー2002/11
本文 musashino.pdf へのリンク 

 
 
 【120304】 社内勉強会を開く  


新潟の印刷業、タカヨシの高橋春義社長は、外部の勉強会で学んだことやそこから自分で展開した考えを伝えようと「タカヨシ塾」という勉強会を始めた。

■社員の中から希望者を集め、月に3回、始業前の6時から8時まで。2年間でメンバーを入れ替える。たとえば、著名な経営者の講話テープを一緒に聞き、その後それについてディスカッションする。その中で高橋さんの考え方を聞き、塾生たちも意見を述べる。それを繰り返す中で社長と中堅社員たちの気持が通じ合うようになった。その後、この塾で育った中堅社員が自信をつけ、各事業分野が競い合うようにして業績を伸ばした。

取材先 タカヨシ(tanbouki 006
取材 2006/03/06
掲載 ポジティブ2006/05
本文 takayoshi.pdf へのリンク

 ←タカヨシ塾
 
【120305】 接客販売の品質をトップレベルまで上げる  


■クロスカンパニーの石川康晴社長は、製品の品質とともにそれを接客販売する人の品質を全国トップレベルにまで高め、お客様に満足していただこうと、「人と製品の品質日本一」という品質方針をポスターにして全職場に掲げ、カードにして全員に配り、さらに毎日の朝礼・終礼で全員が唱和している。

■新卒の新入社員教育では、お辞儀の仕方、声の出し方、笑顔の作り方…などを一から教え、中途入社者には先輩社員が一定期間ついてマンツーマンで指導するほか、接客技術を磨くために基本塾、練達塾というスキルアップ研修の機会があり、さらに個々の商品の商品知識やその時々のトレンド情報は店長会議でその都度幹部から店長に伝えられ、店長から各店の社員に伝えられる。

■これらの教育によって、「いらしゃいませ」「ありがとうございました」しか言えなかった新入社員が、少しずつ接客技術をレベルアップさせていき、お客様の心をしっかりとつかめるようになる。

■「ベストオブクロス」と名づけられたロールプレイングコンテストを2006年から開催している。社員が店員役となり、社外から招いた女優さんにお客様役を演じてもらって5分間で販売のロールプレイングを行うもの。そのときの社員の応対を審査員が採点し、その点数を競う。たとえば、その時店舗にない品物が注文されたり、他店から取り寄せなければならなかったり、といったイレギュラーな場面設定も用意されており、その対応の仕方でその人の実力がわかる。

■全社員が参加し、店舗予選、地区予選を勝ち抜いた20人が決勝に臨み、上位5人が表彰され、賞金とともに副賞としてヨーロッパ研修旅行がプレゼントされる。旅行予算は1人100万円。パリでオペラ座を見て、高級レストランで食事し、赤絨毯を敷き詰めたホテルに泊まるなど、富裕層の顧客の心をつかむために富裕層と同じ遊びを経験させる。

■「ベストオブクロス」によって、優れた接客応対の技術が通常の研修方法ではとうてい及ばないスピードで全社員に深く浸透していく。社員たちはそれまでに入賞した社員の演技ビデオを繰り返し見て研究し、少しでもよい結果を出そうとする。自部門から上位入賞者を出したいと考える部門マネジャーたちがとりわけ熱心で、彼らは全国各地の店舗の優秀社員を休日に集めて特訓する。このコンテストのために多くの社員が各地と東京を何度も往復するが、そのための交通費、宿泊費、コンテストや訓練のための会場費、そして上位入賞者に対する賞金と副賞などを含めるとその費用は何千万円という額になる。

■「コストと考えればとても出せる金額ではない。しかしこれは投資です。これによって社員の能力を高め、お客様の満足度を高め、店の価値、ブランドの価値を高めることができるのです」と石川社長は言う。

取材先 クロスカンパニー(tanbouki 066
取材 2008/04/30
掲載 ポジティブ2008/0
本文 croscompany.pdf へのリンク
  

 
ベストオブクロスのロールプレイングコンテスト
 
【120306】 職場の全員にパソコンをマスターさせる   

■日立金属安来工場では、次のような方法で職場の全員にパソコンをマスターさせた。
@中高年監督者を対象とした「パソコン教室」を開講し、「メールの使い方」「EXCEL」「WORD」などを教えた。
A研修と並行してパソコンを利用した仕事の改善テーマ(「消耗品をパソコンで管理する」「作業実績をパソコンで集計する」など)を設定し、その進捗状況を1カ月ごとに発表させた。
B監督者たちがある程度パソコンを使えるようになり、パソコンの配備数も増えた頃に小集団活動リーダーを対象に「パソコン教室」を開講した。以後、小集団活動の分析資料、発表資料がパソコンで作られるようになり、パソコン利用が全従業員に広がった。

取材先 
日立金属安来工場
取材 1999/08/12
掲載 燃えよリーダー
 1999/09
  
 
 
【120307】 創造性開発教室を開く   
 
■自動車部品メーカー、クラタでは、工場の一郭に「創造性工房」を設け、現場リーダークラスを中心に創造性開発教育を行っている。アイデアの出し方のコツを学び、最後に自分たちが考えたアイデアを木工細工で形に表す。

■工房の中に木工機械が備えられていて、例えばプレス機の上下運動を滑車を使って横の運動に変えられないか、コンベアの動きを利用して治具の動きを同期化できないか…などの発想を木で模型を作って実験し、行けそうだとなれば改善道場で金属材料を使って実作する。


取材先 クラタ
取材 2000/06/27
掲載 プレス技術
 2000/09
本文 kurata.pdf へのリンク
  
 
 
 【120308】 第一線監督者に問題発見と問題解決力を身につけさせる    

自動車部品メーカー、マルヤス工業では、第一線監督者に問題発見・問題解決能力を身につけさせるために、次のような研修を行っている。

@第一線監督者層の中から順次3人を選抜してチームを編成。70日間職場を離れ、与えられたテーマに集中して改善を行わせる。
Aテーマは各部が持ち回りで提案。提案部門の職制、改善事務局、この研修会のOBが見守る中でチームメンバーは、現状調査→原因追究→対策立案→改善実施→成果確認のステップを進める。
B研修スケジュールには2回の合宿による改善教育と精神修養、会社のトップの前での2回の発表が組み込まれている。

取材先 マルヤス工業
取材 2002/01/28
掲載 プレス技術
  2002/04
本文 maruyasu.pdf へのリンク

 
 
 【120309】 改善道場で改善留学させる    

■ダイキン工業滋賀製作所では、オペレーターの改善技能、保全技能を高めるために、4カ月間ラインから外して保全部門の保全グループ、改善グループに預ける改善留学制度、保全留学制度を実施している。

■対象は社内改善教育を修了し保全技能資格を取得した人の中から人選。期間中は改善道場でベテラン社員のアドバイスを受けながら、自分で図面を描き、材料を発注して、自職場のために自動機を製作したり、予防保全システムを製作し、4カ月後に成果発表する。

■修了者には「テクニカルリーダー」の称号とバッジが送られる。


取材先 ダイキン工業滋賀製作所)
取材 1998/11/09
掲載 TPMによる利益を生み出す体質づくり  
 
 
 【120310】 ものづくり技術を伝承する   


■製造工程のかなりの部分が中国や東南アジアに移り、団塊世代の大量退職が始まったことで、高度の熟練技能が失われていくことを危惧したトップの指示により、
セイコーエプソンは、2002年、技能教育の再構築のために「エプソンものづくり塾」をスタートさせた。

■技能道場、効率化道場、先端技術道場、設備保全道場などがあり、塾生は、新入社員、課題を持つ中堅社員、管理監督者、協力会社社員、さらに地域貢献の一環として長野県内の工業高校の先生らも含まれている。その塾生たちを、現代の名工、県の名工、エプソンの名工などのタイトルを持つ30人が指導に当たっている。

■指導に使われる機械は3060年前の古いタイプのもの。数値を入力するだけでものが出来上がる最近の機械とは違って、自分で材料をセットし、位置決めし、何度も調整しなければならない。そういう機械を使いこなすことで、加工プロセスが理解できるという。

■塾では技能五輪をめざす若手社員も育成している。一般採用枠とは別枠で採用された人たちで、通常58年かかる技能を2年間で習得する。その2年間は教える方も教えられる方も真剣勝負で、先輩・後輩の人間関係の中で、あいさつ、服装、生活態度、目上の人を敬う心などを教え、厳しい訓練を経て、技能五輪に挑戦。メダルを目指す。メダリストたちは他の社員の目標となり、それが全体のレベルアップにつながると期待されている。

取材先 セイコーエプソン(tanbouki 043
取材 2007/06/01
掲載 ポジティブ2007/08
本文 seikoepson.pdf へのリンク
  

 
エプソンものづくり塾での実習風景
 
【120311】 入社希望者に仕事の具体的イメージを体感させる    


■自動車ディーラー、ネッツトヨタ南国の事例。新卒者の採用面接は1人30分の時間をかけていたが、学生たちは業界や応募職種について一応の知識を持っていても、実際に働くということの具体的なイメージを持っていない場合が多かった。

■そこで、何度でも会社訪問に来てもらい、都合のつく社員が案内して、先輩たちの働く様子、仲間とのコミュニケーションやパートナーシップを見て貰うことにした。

■その後さらに、地元大学でビジネス講座を開講、小学生から大学生までを対象としたインターンシップを実施。会社の仕事を体感しながら、価値ある働き方を考えてもらう機会を提供している。

取材先 ネッツトヨタ南国(tanbouki 001
取材 2005/11/08
掲載 ポジティブ2006/01
本文 netznangoku.pdf へのリンク

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