絵で見る創意くふう事典  》 第12章 組織  》 Bよい人間関係をつくる
 
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組織‐1203 Bよい人間関係をつくる BACKNEXT

人間はしばしば理屈より感情に支配されます。そのため、共通の目的に向けて2人以上の人間が力を合わせるには、よい人間関係を築くことが不可欠です。

 このページの掲載事例→                ●120301 挨拶は上から下から心から  
 ●120302 笑顔で話しかける  
 ●120303 サンクスカードを贈る  
 ●120304 儲けは税金と社員を喜ばせることに使う  
 ●120305 周りの人を喜ばせる
 ●120306 社長の生き方、考え方を伝える
 ●120307 ゆたかな社会感覚、生活感覚を持った社員を育てる
 ●120308 パート・アルバイトときちんとコミュニケーションする
 ●120309 会社と社員は運命共同体と説く
 ●120310 従業員の物心両面の幸せを追求する
 ●120311 煙草の買い置きを禁じられる
 
【120301】 挨拶は上から下から心から  
 
新潟の印刷業、タカヨシの高橋春義社長はある勉強会で「挨拶は、上から、下から、心から」という言葉を聞いた、それまで毎朝の朝礼で「おはようございます」「いらっしゃいませ」と声に出させて猛特訓していたが、このとき聞いた言葉で自分のやり方は「挨拶は、まず下から、次に上から、それが当たり前」だったと気がついた。その後、社長である自分から心をこめて「おはよう」と言おうと決めた。

取材先 タカヨシ(tanbouki 006
取材 2006/03/06
掲載 ポジティブ2006/05
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki006.html

 
 
【120302】 笑顔で話しかける   


タカヨシの高橋春義社長は、あるコンサルタントから「高橋さん、いい笑顔ですね」と褒められたことがある。それがきっかけで毎朝鏡に向かって笑顔の練習をした。それまで辞めていく社員に「お前、何で辞めるのだ!」と責める口調になっていた。「そうか、辞めるのか、また遊びに来いよ」と笑顔で言おうと決めた。そんなふうに自分が変わると社員が少しずつ変わり始めた。採用しても採用してもボロボロやめた社員が辞めなくなった。

取材先 タカヨシ(tanbouki 006
取材 2006/03/06
掲載 ポジティブ2006/05
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki006.html  

 
【120303】サンクスカードを贈る  

■兜髄野では、社内で人から親切にしてもらったり、手助けしてもらったときなど、感謝の気持ちを伝えたいときは「サンクスカード」に書いて相手に渡す。全社で2000枚のサンクスカードを集めることを目標にしており、これを通じて素直に「ありがとう」と言える風土づくりをめざしている。

取材先 武蔵野(tanbouki 0-1
取材 2002/09/13
掲載 燃えよリーダー2002/11
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki0-1.html へのリンク

 
 
【120304】 儲けは税金と社員を喜ばせることに使う  

お菓子のデパート、吉寿屋の神吉武司会長は、早起きこそが事業成功の秘訣だという。朝の10分の能率は晩の30分に相当するし、朝は車の渋滞に巻き込まれる心配もない。毎朝5時に起きて6時に出社。人より大きな声で挨拶し、徹底して整理整頓し、一切のムダを省いて業界トップの利益率を実現。事業を成功に導いてきた。

神吉さんはそのようにして人一倍働いて稼いだお金を自分のために使わなかった。世の中は税金によって成り立っている。それに少しでも貢献したいと毎年少しでも多くの税金を支払うことを目標にしてきている。

もうひとつは社員を喜ばせることに使ってきた。朝早く出社するのは一向に構わないが、残業は基本的に禁止。夕方6時には帰宅して家族と一緒に食事し、子供の誕生日には一緒になってローソクを消すことを奨励している。

■神吉さんは珍しいものを見つけたら買ってきて抽選で社員にプレゼントする。珍しい果物、感銘を受けた本、食事会への招待。笑顔コンテストの優勝者にはペアでディズニーランド招待。年間最優秀正社員には、翌1年間に限って年俸3000万円を支給、最優秀パート社員には1000万円を支給する。

少子化と核家族化で人と人との絆が薄れてきたいま、家族という最後の絆を大事にしたいという人が増えている。そんな時代に即した働き方を提供し、その中でやる気を盛り上げていく工夫だという。

取材先 吉寿屋(tanbouki 067
取材 2008/06/04
掲載 ポジティブ2008/08
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki067.html へのリンク
 

 
吉寿屋寝屋川店(左)と徳島阿波踊りで結成された同社社員による武秀連
 
【120305】 周りの人を喜ばせる  

吉寿屋の神吉武司会長の少年時代のエピソード。聖徳太子の図柄の最初の千円札が発行されて間もない頃、神吉さんは2人の友人と一緒に歩いていて、1枚の千円札を拾った。

目の前の家で「落ちていますよ」と声をかけると、落としたのは自分たちではないとのこと。結局警察に届けた。それでも落とし主は現れず、千円は1年後に神吉さんたちのものになった。

■神吉さんは一緒にいた友人たちに350円ずつ渡して、自分は300円をとった。「拾って届けたお前が300円で、一緒にいた2人が350円か?」と父は言ったが、そう言いながらも嬉しそうだったという。

■神吉さんはこう続ける。「そのとき私が400円をもらって、2人に300円ずつ渡したのだったとしたら、友人も私もこの話はとうの昔に忘れていたと思います。しかし、私は自分がいい思いをするよりも、周りの人たちが喜ぶのを見たかった。だから2人の心に入り込むことができた。2人は今でもこのことを覚えてくれています」

取材先 吉寿屋(tanbouki 067
取材 2008/06/04
掲載 ポジティブ2008/08
探訪記  http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki067.html へのリンク

 
【120306】 社長の生き方、考え方を伝える  


■クリーニング業、クリーンサワ(和歌山市)の澤浩平社長は「自分はお客様からお育てをいただいた」という。

■クリーニング業というのはそんなに儲かるビジネスではないが、お客様に一番近い所で、お客様に一番喜んでいただける仕事である。あまり利益が上がらなくても、もっとお客様にいただこうと工夫すれば、その中で、自然に知識・技術が身についていく。それで十分だと思う。今日の命を精一杯燃焼させて生きられるなら、いつどこで息絶えても惜しくないと思っている。

■クリーニング業の中で身についた自分のそんな生き方を社員に伝えるために、澤さんは自分が講師になって、20年前から社内研修会を開いており、これまでに300回を数える。テーマは、クリーニング、繊維素材、報告連絡相談、少子高齢化、グローバリゼーション、イノベーション、健康管理…。

■毎回その話を聞いて感じたこと感想文を数行で書かせており、それを冊子にまとめて残している。ずらりと並んだ300回分の感想文集を「これこそがわが社の基本財産です」と澤さんは言う。

取材先 クリーンサワ
取材 2006/06/15
掲載 ポジティブ2006/0
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki009.html へのリンク   

 ←社内研修会
 
【120307】 豊かな社会感覚、生活感覚をもった社員を育てる  
 
■信頼され支持される会社となるためには、豊かな社会感覚、生活感覚を持った社員を育てる必要がある。新聞販売店、ASA栃木中央の松尾光雄社長は、そのために正社員を対象に、家庭のこと、社会のこと、政治・経済・文化に関することを語り合う「ふくろう塾」という勉強会を開いている。

■あるとき松尾さんは19歳の高卒新入社員のクンのことを話題に取り上げてこんな話をしたことがある。お客様への対応がよく、営業成績も優秀な若者で、大事な彼女がいるという。

■「それじゃ、キミが大人になってどんな家庭をつくるかということを考えてみよう。家庭を作るには相手がいるね。そしてその相手を愛していなければならないね。キミはその彼女と同棲したいのかい? それとも結婚したいと思っているかい? 結婚するとしたら君達には4人の両親がいて、その上には8人のおじいさん、おばあさんがいるね。そして君達にはやがて子供ができる。そうすると自分たちだけじゃないということに気がついてくる。ご両親は君たちが自分たちと同じように幸せな家庭を築いてくれれば嬉しいし、君たちも自分たちの子供が幸せな家庭を築いてくれれば嬉しいと思うようになる。君たちから受け継いだ素質をもっと膨らませて子供たちが世の中の役に立つような生き方をしてくれれば、君たちの人生はもっと大きくひろがっていく。しかし、これはきちんと結婚した場合だよ。単に同棲するだけだったらこんなふうには広がらない。結婚しようと思うのなら会社できちんと働いてお金を貯めなければダメだ。30代でうまくリーダーシップを身につけること、40代ではグループのトップになって自分の責任で世の中に羽ばたいていかねばならない」

■この話はAクンだけでなく、そこにいる全員が自分の身に引き換えて真剣に聞いていた。そうした豊かな生活感覚、社会感覚を共有してこそ、お客様と気持ちが通じ合い、きちんと話し合えるようになり、お客様の信頼を勝ち得ることができるようになる、と松尾さんは考えている。

取材先 ASA栃木中央(tanbouki 014
取材 2006/07/21
掲載 ポジティブ2006/09
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki014.html へのリンク

 ←社員たちによる地域の周辺清掃
 
【120308】 パート・アルバイトときちんとコミュニケーションする   


■サービス業の現場はパート・アルバイトによって支えられている。だが、店長の多くはパート・アルバイトときちんと向き合えていない。そのため、彼らはやりがいを持てず、次々辞めていき、その穴埋めのために、店長はいつもパート・アルバイトの採用に追われる。

■パート・アルバイト採用代行業、ツナグ・ソリューションズの米田光宏社長は、その悪循環から抜け出るために、
@店長とパート・アルバイトのコミュニケーション、
Aパート・アルバイト間のコミュニケーション、
Bパート・アルバイトと友達・家族のコミュニケーション、
Cパート・アルバイト本人の中で、何のためにそこで働くのかという自問自答
…が大切だと説き、次のような自社の取り組みを紹介している。

■ツナグ・ソリューションズに新入社員が入ってくるとき、当人の簡単なプロフィールを予めみんなに知らせている。その上でみんなは歓迎の言葉を投げかけ、朝礼や社内ブログなどで自分自身のことを紹介している。

■頻繁にジョブローテーションを行ない、社内のすべての仕事を誰か1人しか知らないという状況にならないようにしている。これにより、特定業務が1人に集中することを避け、後の仕事を気にせず、休みが取れるようにしている。

■勉強休暇、ボランティア休暇、大切な人と一緒に過ごすためのLOVE休暇などを設けており、社員たちはその休暇をどのように過ごしたかを朝礼や社内ブログなどで語り合っている。

取材先 ツナグ・ソリューションズ
取材  2011/04/21
掲載  リーダーシップ2011/07
探訪記
http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki114.html へのリンク 

 ←ウェルカムメッセージ
 
【120309】 会社と社員は運命共同体と説く    


■順送り金型メーカーの伊藤製作所(四日市市)は1996年にフィリピンに合弁会社を設立。2003年に合弁相手の株を買い取って100%子会社化した。日本人社員が現地法人社長を務めており、日本でやってきたのと同じ家族的経営を実践している。

■日本本社の伊藤澄夫社長は年に7〜8回現地に出掛け、毎回1週間ほど滞在。その間、毎日全員を集めて朝礼している。そのとき心がけているのは、目を合わせること、感謝の言葉をかけること、褒めて励ましながら、何を目指すべきか目標を与えることである。さらに、優秀な社員は数人ずつ来日させ、3カ月間の日本研修を行っている。夜は社員寮に泊め、夕食はしばしば伊藤さんが手づくりの料理を振る舞う。

■合弁会社時代、合弁相手の中国系フィリピン人は、赤字が出てことに苦言を呈し、それを理由にボーナスを出さないと宣言したことがあった。朝礼でそれを聞いていた伊藤さんは「設立後しばらくは赤字になるには織り込み済みのこと。社員に赤字の責任はない」と合弁相手の言葉を遮って、予定通りボーナスを出すことにした。以来、会社と社員は運命共同体であると説く伊藤さんの考え方に現地人従業員は同調するようになり、会社が発展すればさらに賃金が増えるという認識が広がって、技術レベルの向上に励むようになっていった。

■現地では日本人の10分の1の人件費で設計までできる優秀な人材が次々育っており、本社の金型受注が多いときにはフィリピン人技術者が作った設計図データをネット経由で日本に送信。それによって日本では金型部品を夜間無人加工するという国際分業が可能になっている。

取材先 伊藤製作所
取材 2014/06/12
掲載 リーダーシップ2014/08
探訪記 
http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki159.html へのリンク

 
↑フィリピン人従業員を指導する伊藤社長と日本本社のプレス機
 
【120310】 従業員の物心両面の幸せを追求する     
 

■理美容店40店を展開する潟Iオクシの大串哲史社長には、社外に尊敬する先輩経営者がいた。きめ細やかな心配りと折り目正しさを感じる人だった。大串さんが自分の不運を嘆き世の中への不満を漏らしたとき、「キミがうまくいっていないのは世の中の所為じゃない。キミに力がないからだ。世の中は力のある人を埋もれさせない。自分に力がないことを他人の所為にするんじゃない!」とぴしゃりと言われたことがあった。この人がこれほどまでに謙虚で折り目正しいのは成功したからか、あるいは、謙虚で折り目正しいから成功したのか。もし後者なら自分にもチャンスがあるかもしれないと思ったという。

■大串さんは「従業員の物心両面の幸せを追求する」という経営理念をかかげており、この先輩経営者をはじめ、いろんな人から学んだこと、会社と世の中と人生について感じたこと、考えたことを「フィロソフィー」という冊子にまとめ、朝礼で、みんなでそれを読み、それについて意見を交わしている。

取材先 オオクシ
取材 2015/02/23
掲載 リーダーシップ2015/04
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki166.html へのリンク 

 
↑「フォロソフィー」(左)と朝礼でそれを読む従業員
 
 【120311】 煙草の買い置きを禁じられる   


■松下幸之助が五代自転車店で丁稚奉公をしていた時、お客さんの中に「煙草を買うて来てくれ」という人があり、その都度1町ほど走って買いに行っていた。

■やがて20個まとめ買いすると1個おまけがもらえることを知った幸之助は、自分でまとめ買いしておいて、お客さんから頼まれたときにその場ですぐに煙草を差し出した。

■「賢い子やな」とお客さんから褒められ、20個に1個分の儲けも残ったが、丁稚仲間から恨みを買い、「あれは辞めておけ」と主人から禁じられた。もしも20個に1個分の儲けをみんなに還元していたらそうはならなかっただろう、と後に幸之助は語っている。この体験は仕事の場での人間関係を理解する貴重な経験となった。

取材先 松下幸之助歴史館
取材 2020/11/18

掲載 リーダーシップ2021/01
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki235.html  
 
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