絵で見る創意くふう事典  》 第12章 組織  》 H仕事と生活を両立させる
 
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組織‐1209 H仕事と生活を両立させる BACK

雇用する側の都合だけで言えば、会社の中核を担う人にはすべてを仕事に打ち込んでもらいたいし、定型化された日常業務を担う人たちには、決められたことだけきちんとやってもらって、仕事がなくなれば雇用関係を終了できる形が望ましい。しかし、1人ひとりにはそれぞれの生活があり、仕事と生活の両立が保証されてこそ、仕事に打ち込むことができます。そのことに考慮を払わない組織は、やがて人材を確保することができなくなります。ここでは仕事と個人生活を両立させる工夫を集めました。

 このページの掲載事例→           ●120901 女性だけでなく男性も家事を分担すべき  
●120902 仕事と子育てを両立しやすくする 
●120903 社員各層の提言でワークライフバランスを改善
●120904 病院内に保育所を開設する
●120905 みんなで力を合わせて雇用を守る
●120906 女性の働きやすさを追求する
●120907 人を働かせる会社からみんなが幸せを求めて働く会社へ
●120908 社員の独立を支援する
●120909 乗務員のための社宅をつくる
 
【120901】 女性だけでなく男性も家事を分担すべき  

■幼い子供たちを育てながら昭和精機の社長になった藤浪芳子さんは、子供を持った女性はどんな時でも家庭を気遣いながら仕事をしているという。これに対して、男性は家庭を女性に任せ、すべてを仕事に打ち込んでいる。だから、女性は男性に従うべきだと言うのは間違っている。

■国難ともいうべき少子化から抜け出すには、女性だけに家事を押し付けるのはやめ、男性も半分それを担うことしか解決方法はないという。

■こうした考え方から、昭和精機では、育児休業法(1992年)以前から、出産や育児や介護でフルタイム勤務ができなくなった女性社員たちの事情に応じてパート勤務に切り替え、復帰できるようになれば元通り正社員に復帰させている。パートで採用した人たちも、フルタイム勤務ができるようになれば、面談して希望通りの勤務を認めている。

取材先 昭和精機
取材 2018/09/27
掲載先 リーダーシップ2018/11
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki209.html

 ←昭和精機の70周年記念祝賀会(中央が藤浪さん)
 
【120902】 仕事と子育てを両立しやすくする  

■一旦社員になった人には、できればいつまでもこの会社で働いてもらいたいとクロスカンパニーの石川康晴社長は考えている。そのため、子供がまだ小さい間は、正社員の身分のまま、1日4時間だけの勤務を選択できるようにした。4時間なら仕事と子育てを両立させやすく、預かってもらえる施設も比較的見つけやすいからだ。

■販売員は若い女性に限ると考える経営者が多い中、石川さんは「年齢は関係ない」という。「私たちは団塊ジュニアとともにマーケットを作ってきています。団塊ジュニアが40代になれば40代向けの、50代になればシニア向けのブランドを作っていけばいい。結婚して、子供を生んで、子育てして、人生経験を積んだ女性にしかつかめないお客様の心もある」という。

取材先 クロスカンパニー
取材 2008/04/30
掲載 ポジティブ2008/0
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki066.html

 クロスカンパニーの店舗
 
 【120903】 社員各層の提言でワークライフバランスを改善  


■日立ソフトウェアエンジニアリングは、採算が取れないプロジェクトが増え、SEの残業が増えて、モチベーションを低下させていた。

■ここからの脱出をめざして、2006年、全社改革運動「ブレークスルー作戦」を展開。パッケージソフト販売やプログラムレンタルなど過去の蓄積を活用することによる「事業構造の改革」とともに「マネジメントプロセスの進化」「ものづくり力の強化」「営業力の強化」「活気ある職場づくり」に取り組んだ。

■その実現のために、社員を元気にすることが不可欠で、そのためにはワークライフバランス実現が必要だとして、女性・若手・シニアのワーキンググループを編成。それぞれの提言に基づき次のような改善を行なった。

■育児期間中の短時間勤務の利用は従来小学校入学まで、勤務時間は6時間と決まっていたが、女性ワーキンググループの提言により、次のように改められた。
@育児期間中の短時間勤務は4時間・5時間・6時間・7時間の選択制とし、短時間勤務制度を利用できるのは小学校卒業までとした。
A最長2年間だった育児休職期間は小学校1年生が終わるまでの間に通算3年間とした。
B休職期間中も会社の情報に触れることができるようセキュリティPCが貸与されることになった。

■若手グループの提言により、長時間残業縮減のために、
@2カ月連続80時間以上残業を行なった者はリストアップし、経営会議に報告。仕事の分担を変えるなどの改善計画と今後の残業見込み時間を提出させる。
A21時までに退社する「21時ルール」を設定。それ以上残業する場合は部長の許可を得る。
Bプロジェクトが終わったら2日以上の年休をとる「プロジェクト年休」を制定。

■シニアグループの提言により、健康管理とコミュニケーション推進のために、
@産業医による体の健康と心の健康の講話会開催。
A健康診断100%受診の徹底。
B血圧や血糖値について基準値を越える社員の残業禁止。ただし、病院で受診し、治療が開始されれば残業禁止措置を解除する。
Cメンタル疾患の社員は、リハビリ可能の診断書が出て、本人・上司・産業医の3者面談で就業可能と判断された場合のみ復帰させる。
D万歩計を配付。歩数をイントラネット上に記録して競い合ったり、フロアに血圧計を置いて、健康づくりへの意識を高める。
E社内コミュニケーションを高めるために、上司との懇談会、職場横断型懇談会を開催。13000円の補助金を支給する。
F合宿研修会の復活。
G全社スポーツフェスティバルの復活。

■これらの改革の結果、業績はV字回復。残業時間削減、退職率低下、総合職の女性社員割合向上などの効果が明らかとなえり、2007年、社会経済生産性本部の第1回ワークバランス大賞・組織内活動表彰優秀賞を受賞した。

取材先 日立ソフトウェアエンジニアリング
取材 2009/01/19
掲載 ポジティブ2009/03
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki082.html

 女性ワーキンググループの会議
 
【120904】 病院内に保育所を開設する  


益田地域医療センター医師会病院では、事業規模の拡大に伴って看護師の人数が拡大したが、その人たちの結婚や出産が重なって離職率が急速に高まった。そこで、2006年に院内保育所を開設した。16.7%だった離職率が4.17%にまで低下。現在では、女性職員が安心して働ける環境が守られている。 

取材先 益田地域医療センター医師会病院
取材  2012/04/18
掲載  リーダーシップ2012/06
探訪記  
http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki131.htm

 ←.院内保育所
 
【120905】 みんなで力を合わせて雇用を守る   


■東日本大震災のときで理美容店40店を展開する潟Iオクシの千葉市稲毛海岸の店舗は液状化に見舞われ、床上まで泥が上がってきた。さらにその後の計画停電によって照明・エアコン・ヘアドライヤーも使えなくなって、営業できない日が何日も続いた。

■同業者の多くはパートタイマーを解雇して切り抜けようとしたが、大串さんは「ウチは従業員の物心両面の幸せを追求する会社です。社員はもちろんパートさんの雇用も保証します」と宣言した。

■それに応えて全店の店長が協力しておアートさんたちの仕事場の確保に奔走した。本部は各店舗の運営状況を常に見える化し、停電で営業できなくなった店の店長は、それを見て応援派遣の受け入れ先を求め、通常通り営業している店舗は、できる限りその人たちを受け入れた。

■各店舗の横のコミュニケーションルートがこうした勤務を可能にし、全従業員の仕事が確保され、雇用が維持された。この経験は従業員たちに自分たちは家族だという意識をより強くした。

取材先 オオクシ
取材 2015/02/23
掲載 リーダーシップ2015/04
探訪記 
 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki166.html

  
↑カットの研修(左)と接客マナー研修
 
【120906】 女性の働きやすさを追求する    


■埼玉県春日部市の三州製菓は
、卸売業者に販売を依存した大衆品の煎餅・あられの製造から進路を変え、高級菓子づくりで独自の販路を開拓してきた。お客様の大半が女性で、女性の感性を生かした製品づくりに力を入れており、そのため、従業員の7割を女性が占め、女性にとっての働きやすい職場づくりに力を入れている。

■同社には「安全衛生」「クレームゼロ」「味覚評価」…など、13の委員会があり、社員やパートから選ばれた56人が委員となり、自分たちで決めたテーマに沿って1年間議論して提言をまとめ、発表している。委員会のひとつに「男女共同参画推進委員会」があり、その提言もあって、次のような働き方を実施している。

[子の看護休暇]
 育児介護休業法は就業前の子供について、1年間に5日、2人以上の場合は10日の「子の看護休暇」を認めているが、同社では小学3年生までの子供について、1人目は10日、2人目の子は15日の看護休暇を認めている。

[短時間正社員制度]
 育児介護のためにフルタイムで働くことができなくなっても正社員の身分を失わない「短時間正社員制度」があり、これとフレックスタイムを組み合わせることで、育児休業を取得した全員が元の仕事に復帰している。

[1人3役制度]
 1人ひとりが目いっぱいの仕事を抱えている中では、ワークライフバランスの実現は難しい。育児や介護のために短時間勤務を希望する人が現れた時、それに対応するには、組織としてそれなりのゆとりを持っておくことが必要である。そこで、1人ひとり、自分が担当するメインの仕事のほかに他の人を手伝える領域を2つずつつくる「13役」体制をめざすという目標を掲げ、そのための助け合いの事例を朝礼で発表したり、グループウエアを紹介したり、優れた取り組みをした人を表彰したりしている。

[女性管理職35%をめざす]
 社員の7割が女性。その多くはパートタイマ―だが、そこから正社員への登用を積極的に進めている。また管理職への登用も進めており、18人の管理職のうち女性は5人(27%)。この割合を2020年までに35%まで増やすことをめざしている。

取材先 三州製菓
取材 2016/09/05
掲載 リーダーシップ2016/11
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki185.html

 
↑「エステラス」の店内(左)と1人1「研究の発表会
 
【120907】 人を働かせる会社からみんなが幸せを求めて働く会社へ    
 

■会社というのは、売り上げや利益の数字にために人を管理し監視して働かせる場ではなく、人々が自分たちの幸せを求めて力を合わせる場であるべきではないか…。宮田運輸の宮田博文社長は、「こどもミュージアムプロジェクト」を始めてからそんなふうに考えるようになり、そうした考え方に沿って、次のような取り組みを始めた。

メリータイム
朝の「点呼」の時間を同社では「メリータイム」と呼び、点検報告、アルコールと健康状態のチェックの後、管理職がドライバー1人ひとりのタンブラーに熱いコーヒーを注いで「気を付けていってらっしゃい」と送り出している。タンブラーにはそれぞれの家族が描いた絵や写真、「お父さん、今日も元気で行ってきてね」「無事に帰ってきてね」などの文字がラッピングがされている。

社歌の作詞作曲と合唱
2017年の創立50周年に、社歌として家族からのお父さん、お母さんへの応援歌を作り、家族に集まってもらい、合唱してもらってCDを作った。CDは毎朝の朝礼で流している。

みらい会議
各部門の業績報告会だった幹部会議を「みらい会議」と改称。従業員なら誰でも参加できるようにした。さらに、得意先、銀行、同業他社など社外の人たちにも呼びかけて加わってもらっている。各部門の業績報告は管理職以外の一般社員が行なう場合があり、そこで提起された問題も一般社員がディスカッションに参加して解決の方向性を決めている。業績報告会の後は「心のディスカッション」としてみんなで人生観や死生観などを語り合い、ヨガを行ない、最後に懇親会を開いて終了する。毎回80人程度が参加する。

幸福創造という経営理念
同社は「幸福創造企業として永遠に発展する」という経営理念を掲げている。ある社員の次のような例がある。人とのコミュニケーションが苦手な人だった。様々な会社の採用面接にことごとく落ちてしまい、宮田社長はある人から「お宅で面倒を見てもらえないか」と頼まれて、この人を引き受けることにした。自宅から毎日1時間半かけて通ってくるのだが、ほとんど仕事にならなかった。それでも「今日もよく来たな」と言葉をかけ続けた。1年が過ぎ、彼が数字にはかなり強いらしいということが分かってきて、経理の仕事を担当させた。今はこの分野でバリバリ仕事をしてくれるようになったという。

取材先 宮田運輸
取材 2018/02/08
掲載 リーダーシップ2018/04
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki202.html

 
↑メリーターム(左)とみらい会議
 
【120908】 社員の独立を支援する    


■スタンドそばチェーン「小諸そば」を展開する三ツ和(東京)は1953年の創業。創業者の小川正元さんは商家で育ったが、幼い頃、番頭・手代・丁稚など、使用者と被使用者の差別的身分制度に馴染めなかったという。人は人として同じ価値を持っており、そのことを互いに認め合い、尊重し合ってこそ協力し合えるのではないかと考えていた。その考え方がベースとなって、1976年、ドイツ人のギド・フィッシャー教授が提唱する「パートナーシャフト経営」を自社の経営の基本とすると宣言した。

■この考え方がベースとなって、同社は社員を「パートナー」と呼び、経営をガラス張りにしている。入社2年以上の社員が参画して経営計画を策定し、各店の目標を決め、目標を達成した店には利益が還元され、社員たちはその一部を積み立てて自社株を購入している。

■さらに、独立を希望し、店の開店資金の25%以上を出資することのできる社員には、経営ノウハウを提供し、資金調達援助などを通じて独立を支援し、のれん分けしている。

取材先 三ツ和
取材  1994/03/03
掲載  燃えよリーダー1994/04

 
 
【120909】 乗務員のための社宅をつくる     


■青木定雄がMKタクシーを創業したとき、無断で遅刻欠勤する乗務員が後を絶たなかった。

■「そんな連中は解雇すればいい」という先輩経営者もいたが、家庭訪問してみると、4畳半一間の狭い部屋で子供が騒いでいて、眠れなくて夜勤を無断欠勤してしまうのだった。

■そこで青木は乗務員のために社宅をつくり、その近くに車庫の認可をとって、そこからの直行直帰を認めた。それによって無断の遅刻欠勤は激減した。 

取材先 エムケイ
取材 2021/03/02
掲載 リーダーシップ2021/04
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki238.html
 

 ←乗務員のために建てられたMK団地
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