改善の事典  》 第9章 コストダウン  》 解説 「コスト」とは
 
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 解説   「コスト」とは
 

人は他人と関わりながら生きています。他人が持っている何かを自分のものにしたい、あるいは自分のために何かをしてもらいたいと思ったとき、自分の要求を受け入れてもらうために何らかのアクションを起こさなければなりません。直接的には力づくで奪いとる、あるいは、相手の好意に訴えて譲ってもらう。もっとスマートにやろうとすれば、自分が持っているモノと交換する。相手の役に立つ仕事を引き受けてその代わりにこちらの要求を受け入れてもらう。そして、現代では当然のことながら、ほとんどの場合、お金を支払ってモノやサービスを買い取る、というやりかたになります。
このとき、交換のために相手に提供するモノやサービス、そして、最も一般的には「お金」は、自分が欲しいものを手に入れるための「コスト」と呼ばれます。そして相手から手に入れたモノやサービスと、自分が支払ったコストが見合っているかどうかを「コストパフォーマンス(費用対効果)」と呼び、手に入れた価値が支払ったコストよりも大きいときは「コストパフォーマンスが高い」、小さいときは「コストパフォーマンスが低い」という言い方をします。
力づくで奪うという方法は一見コストパフォーマンスが高いように見えます。しかし、相手からの反撃や周囲から制裁を受けることまで含めて考えると、途方もなく大きなコストになる場合があります。また、好意に甘えて譲ってもらうというのは、家族、恋人、一族同朋など、互いに相手が特別の存在であり、利害が共通していて、その関係がいつまでも続く場合にだけ成立する方法です。

通常の関係の下で、もしも相手から手に入れた価値がこちらの支払ったコストよりも小さければ、その相手との取引は次から辞めようと思います。逆に、手に入れた価値が支払ったコストよりも大きければ、今度は相手がそんな取引をいつまでも続けてはくれません。従って、交換するモノやサービスやお金は、同じ価値のものでなければならないというのが取引の大原則です。
しかし、もともと互いに同じ価値と認め合って交換していたものを、改善くふうによってコストを引き下げたとしたら、それによって得られた利益は改善くふうした側に属します。だから、取引の当事者は可能な限り自社の製品やサービスのコストダウンに努めるのです。逆にそうした改善くふうが一般的になって世の中全体で同種の製品サービスのコストが下がってくると、買い手は取引の更新時に値引きを要求してきます。それに応じられなかったら、取引そのものを失ってしまうことになります。
第1章から第7章までにみてきた、安全に、正しく、早く、楽…にをめざす改善くふうは、それによって仕事の効率を高め、コストをひき下げることにつながります。この章ではそれ以外のコストダウン事例を紹介します

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