改善の事典  》 第2章  安全  》 解説 「安全」とは
 
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 解説  「安全」とは


道具や装置
をくふうし、大勢の人が力を合わせると、大きな力を生み出すことができます。ピラミッドを建設するとき、人びとは人間は何トンも何十トンもある巨石をソリに載せ、そのソリをレールに載せて、その上を滑らせました。レールとソリの間にたっぷり油を塗って摩擦を少なくし、巨石にロープをかけて何十人何百人もの人間で、あるいは家畜の力も総動員して、それを曳くのです。そうすることで、日常の数人の規模では作り出せない大きな力を生み出しました。しかし、そのようにして生み出された大きな力は、使い方を誤ると、人を危険に陥れます。

映画「十戒」の中で、石を運ぶ木のソリとレールの間に油を塗っていた老婆の身にまとっていた布が巻き込まれる場面がありました。動き出したソリが布をどんどん食い込んでいき、老婆は必死になって巻き込まれた布を引き抜こうとするのですが、彼女の非力ではそれができません。やがて老婆は身動きできなくなり、巨石の重圧に押しつぶされようとする寸前に、主人公、モーゼが彼女を救い出すのです。実際の歴史の中ではそんな大規模な工事の中で、そんな風に人間が生命を落と場面が何度もあったに違いありません。

生命の危険のある職場で、人は安心して働くことはできません。どれほど報酬がはずまれようとも、どれほどムチが振るわれようとも、自分の生命が危険にさらされると知れば、誰もがそこから逃げ出そうとします。生命の危険は間違いなくすべての人々のやる気を失わせます。人々に安心して存分に力を発揮させようとすれば、どんなことがあっても安全が守られているということを知らせ、納得させる必要があります。。

現在の日本では、事業者は「労働安全衛生法」によって働く人たちの安全確保が義務づけられており、この法律に基づいて事業者は安全管理の仕組みやルールを作ることが求められます。職場で働く人たちは、真っ先にそのルールが教えられ、それを守ることが求められます。

ルールというのは、一方的に与えられ、教えられるだけではなかなか身につきません。どんな時でもルールを守り、安全を確保しようという気にさせためには、危険な職場で働く人たちが、自分たちで危険箇所を点検し、どんな危険があるかについて想像力を働かせ、危険回避の方法をくふうして、安全のルールづくりに参画することが大切です。この章ではそのようにして、働く人たちが自分たちで考えた危険回避のくふうを取り上げます。

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