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ネット版 改善改革探訪記 №228
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現金掛け値なし、店先売りを始めた三井越後屋の創始者ut

 三井高利事績探訪記


三井越後屋の創始者、三井高利(1622-1694)は伊勢松坂で金融業を営んでいた人で、52歳の時、江戸で商いの修業を積んだ息子たちとともに、江戸に呉服商「越後屋」を出店した。

江戸には既に京都・大阪の商人が多くの店を構えていて、新参の越後屋がそこに参入するには、新たな工夫が必要だった。それが「店前(たなさき)売り」と「現金掛け値なし」だった。

それまでの商人たちは京都から仕入れた呉服を持って、大名、旗本などの屋敷を回り、反物を広げながら商いしていた。値段はその時の成り行きで決まった。支払いは盆と暮の2回払い、あるいは暮だけの年1回払い。その時が来ても「もう少し待ってくれ」と言われる場合もあったから、その辺を織り込んで値段をつけると、仕入れ値よりもかなり高いものになった。

高利らが考え出したのは、訪問販売を止め、店頭で販売するというもので、これが「店前(たなさき)売り」である。もう一つの「現金掛け値なし」は、商品にあらかじめ定価をつけておき、現金と引き換えに定価で販売するというものである。

今日では当たり前の売り方だが、これによって、人々は自分の持っているお金の範囲で好きなものを安心して選べるようになった。さらに従来1反単位で販売していた反物を、お客が必要とする分だけ切り売りに応じた。また、仕立ても請け負い、その場で採寸して後日縫い上げてとどけるというサービスも行った。

こうした売り方によって呉服の需要は不特定多数の庶民に広がり、売上が増えて仕入値も下がり、さらなる売上増を招き、「芝居千両、魚河岸千両、越後屋千両」と言われるほどの繁盛ぶりを示したという。

三井高利についての史料はあまり多くない。自身の想像を交えて「小説・三井高利」を著すした羽佐田直道氏に、高利の事績を解説してもらった。

●本文 → mitsuitakatoshi.pdf
●掲載先 → リーダーシップ6月号
(発行元・日本監督士協会のURL  http://www.kantokushi.or.jp/


駿河町越後屋正月風景図(写真提供 公益財団法人三井文庫)。写真クリックで本文表示


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