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ネット版 改善改革探訪記 №256
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神戸で造船業を起こした川崎重工の創業者ut

 川崎正蔵翁事績探訪記


川崎正蔵翁(1836-1912)は薩摩の没落士族の家に生れた。15歳で、薩摩藩御用商人の店で奉公を始め、琉球、鹿児島、長崎出島を船で往来。各地で産物を仕入れ、江戸や大阪で売りさばく仕事に従事した。

仕事の中で明治維新における薩摩藩の力を身近に感じていた正蔵は、自分にも何かができるはずと確信し、自らを明治政府に売り込み、琉球航路開設を進言した。

この進言がきっかけで日本国郵便蒸気船会社に琉球航路開設が認められ、正蔵は同社の副頭取となる。しかし、同社が三菱汽船会社との競争に敗れ、琉球航路の権益が三菱に移ると、正蔵はそれまで海運に注いできた情熱を造船に向ける。

正蔵は琉球の産物を大阪に集め、それを各地に販売する商いを続けていたが、収益の一部を薩摩出身で後に総理大臣となった松方正義に献金し、松方と薩摩の力を背景に、神戸で川崎造船所を立ち上げる。

川崎造船所はその後に株式会社化。代表取締役に松方の三男、松方幸次郎を迎え、やがて川崎重工業と名前を変えてこの国の軍国主義化の一翼を担い、瀬戸内の寒村だった神戸を京都、大阪に並ぶ大都市に発展させた。

世界に飛躍しようとした時代の空気をいっぱいに吸い込み、権力者を次々と味方につけ、夢を現実のものとした。夢を構想する力、それに向けて人々を結集するエネルギーには学ぶところが大きい。


●本文 → kawasaki-shozou.pdf へのリンク

●取材先  神戸市立博物館「よみがえる川崎美術館展」
●掲載先 → リーダーシップ 2023年2月号
(発行元・日本監督士協会のURL:http://www.kantokushi.or.jp/



神戸市立博物館「よみがえる川崎美術館展」。画像クリックで本文表示



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