絵で見る創意くふう事典  》 第13章 お客様  》 A積極的にアプローチする
 
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お客様‐1302 A積極的にアプローチする BACKNEXT


商品を並べてお客さまを待つだけではモノは売れていきません。ときにはこちらから積極的に声掛けして勧めすることが必要です。ここではそんな事例を集めました。

 このページの掲載事例→                                       ●130201 CD利用率を高める  
 ●130202 デザートだけのメニューをつくる  
 ●130203 一品料理の出数を増やす  
 ●130204 ランチドリンクの出数を増やす  
 ●130205 ボトルキープをすすめる  
 ●130206 お客様の案内ミスをなくす
 ●130207 手を叩いてバラを売る
 ●130208 不動産賃貸の成約率を高める
 ●130209 タクシーの個人契約を増やす
 ●130210 半ば強引に実績をつくる
 ●130211 バイク店の下働きを引き受けて協力店を組織する
 ●130212 海外の旅行会社に直接営業活動を展開する
 ●130213 現地の人の生活に飛び込んで商談を成立させる
 ●130214 一流の会社を得意先にする
 
【130201】 CD利用率を高める   

■相互銀行の事例。預金口座の伸び率に比べてCD(キャッシュディスペンサー、現金自動支払機)の利用伸び率が少なかった。そこで、次の方法で、CD利用率の向上を図った。

@CD利用を呼びかけるポスターを作り、壁やライティングテーブルに貼った。

ACDコーナーにノベルティのティッシュを備え、待っている人のために椅子を設置し、灰皿を置いた。

B窓口担当者が当番でお客様をCDやATM(現金自動入出金機)へ誘導し、使い方を説明した。

Cお客様の立場に立ったセールストークをするために、窓口で「たまには窓口にもいらしてくださいね」と一言添えるようにした。

D外交員が預かった通帳に中にCD未セットのものがあれば「CD未セットです。よろしく」と書いたメモとCD申込書をはさんで、外交員に返すようにした。


取材先 呉相互銀行
取材 1987
掲載 Think Up 1987-03
  
 
 
【130202】 デザートだけのメニューをつくる   
[改善前]
お客様が席に着かれた時にメニューをお持ちし、食後にデザートが欲しいと言われるお客様にはもう一度メニューを持って行っていた。

[改善後]
デザートだけのちいさなメニューをつくり、真ん中を開いてテーブルに立てておくことにした。食後にデザートを注文していただきやすくなった。


取材先 サト守口寺方店
1989/07/03
掲載 改善アイデア開発ポイント集
  
   
 
【130203】 一品料理の出数を増やす  

■工場の従業員食堂では3種類の定食と2種類の一品料理を提供しているが、一品料理の売上が不振だった。そこで…

@お客様アンケートを実施し、その結果によって和食・洋食・中華・揚げ物・焼き物・煮物をとりまぜて一品料理の献立数を増やした。
Aおすすめの献立を掲示し「本日は○○の一品料理がおすすめですよ」と全員で声をかけることにした。

  
 
 
【130204】 ランチドリンクの出数を増やす  

ランチを注文されたお客様に通常300円のドリンク(コーヒー、紅茶、ジュース)を100円で提供していたが、食後にドリンクを注文されるお客様は半数以下だった。そこで、次のような改善を行ない、食後にドリンクを注文するお客様を3分の2まで増やした。

@オーダー時に「ランチをご注文のお客様にはドリンクが100円になっていますが、いかがですか?」と必ずセールスすることにした。

A「後で考える」と言われたお客様には伝票に赤ペンでチェックの印をつけ、食事が終わるころを見計らって「ドリンクはどうなさいますか?」と伺うことにした。

B食後にゆっくりとドリンクを楽しんでいただけるよう、料理の提供を早くし、そのために料理の出来上がりと同時に、トレイ、食器、漬物、サラダ、スープ等を揃えて出せるよう、事前の段取り(同時同卓)を徹底した。

Cドリンクの置き場所に困らないよう食べ終わった食器はすぐに引くようにした。

D最も良いタイミングで、ドリンクを出すために…
・アフタードリンク担当者を決めて、すぐに出せるようにソーサー、カップ、スプーンを準備しておくことにした。
・団体のお客様にホットコーヒーをお出しする場合は2人で連携プレイすることにした。

取材先 シャロンインターナショナル
取材 1999/10/10
掲載 燃えよリーダー 1999-11
 
 
【130205】 ボトルキープをすすめる   

ホテル直営割烹店の飲料売り上げが低下してきた。そこで、次のような方法で「ボトルキープおすすめ作戦」を展開した。

@飲み物のオーダーを受けるとき、ボトルキープをお勧めする。
Aグループのお客様にはボトルの方が安くなることを説明する。
Bボトルが空いたら必ずニューボトルをセールスする。
C期限切れは事前に手紙でお知らせする。
Dキープのお客様には忙しくても作って差し上げ、コミュニケーションを図る。

取材先 神戸ワシントンホテル
取材 1987/09/01
掲載 Think Up 1987-11
 
 
 
【130206】 お客様の案内ミスをなくす  

■和食チェーン店の事例。お客様が店先に来られているのに、ホール担当が気づかず、入店されないという案内ミスがしばしば発生していた。

■そこで、次のようにルール化した。
@ホール担当者は入店しようとしているお客様に常に気を配り「いらっしゃいませ。こちらへご案内します」と声をかける
Aホール担当者が他の仕事にてをとられているときは厨房担当者が声をかける。
B1〜2名のお客様にはカウンター席を、3人以上のグループのお客様にはテーブルを優先的にご案内する。
C料理の注文を聞くときは、どんな料理か、量はどれくらいかを説明する。
D空いているジョッキやグラスを下げるときは「お代りはよろしいですか?」と一声かける。

取材先 グルメ杵屋
取材 1999/10/05
掲載 燃えよリーダー1999/11
  
 
 
【130207】 手を叩いてバラを売る   


■花卉販売会社、ジャパン・フラワー・コーポレーションの社長、松村吉彰さんが若い頃の話。スーパー店頭での花の委託販売の仕事を引き受けることになった。間口一間の小さなスペースに、仕入れた花をバケツに入れて並べておけばよかった。お客様はセルフサービスでそれをレジに持っていくから、店にずっといて対面販売する必要はない。

■しかし、それまで青果店で丁稚奉公をしていた松村さんは、リンゴやバナナやイチゴを売るのと同じやり方で、手を叩きながら「はい、いらっしゃい、いらっしゃい、今日はバラが安いよ!」と通りがかりの奥さんたちに声をかけた。

■「本当に安いの?」と奥さんたちが近寄ってきて、周囲人たちもつられて花売場に視線を注いだ。売場に一気に活気が生まれた。

■松村さんが担当した花売場はそのようにして人々の関心を集め、他店の何倍も売り上げた。それが松村さんがその後自分の店を持つきっかけになったという。

取材先 ジャパンフラワーコーポレーション
取材 2012/12/03
掲載 リーダーシップ2013/01
本文 hanamatsu.pdf へのリンク

 
 
【130208】 不動産賃貸の成約率を高める   


■埼玉県浦和駅前の不動産業業、大和不動産は、不動産のオーナーに代わって貸家やアパートの家賃徴収や施設管理を行っており、「オーナー資産の最大化」を目標に掲げて、可能な限り借主を見つけ、契約に結び付け、空室を少なくすることをめざしている。

■賃貸物件は同社のホームページで確認することができる。お客様がそれを見て、関心を持ったとしても、本当に信用できるのかと疑いを持って見ている。そこで、ホームページ上に経営方針、社員の日々の朝礼、清掃奉仕活動、小集団活動などを日記風につづり、会社の雰囲気を知ってもらい、十分に信頼のおける会社だとわかってもらえるようくふうを凝らしている。

■電話やメールでリアクションのあったお客様のうち何%を来店させることができたかを「来店率」、来店したお客様を何%まで成約に結び付けることができたかを「成約率」と呼ぶ。成約率を高めるために、たとえば、がらんとした空室を見せるのではなく、ソファを置いたり、窓にカーテンを取り付けて、そこで始まる新しい生活を創造して貰えるようにくふうしたり、成約率の思わしくない社員にはみんなでアドバイスしたり、物件調査に連れ出して、不足している知識を補わせている。 

取材先 大和不動産
取材  2011/01/13
掲載  リーダーシップ2011/03
本文  
daiwafudosan.pdf へのリンク 
←全体研修会
 
【130209】 タクシーの個人契約を増やす   


■タクシーのお客様には、駅のタクシー乗り場で乗る人、街で手を挙げて乗る人、電話で配車を依頼してくる人の3通りある。タクシー会社にとっては、電話をかけて来て貰うのが、お客様を待つ時間のロスが最も少ない。しかし、中央タクシーが創業したばかりの頃は、電話をかけてくるお客様はほとんどなく、宇都宮恒久社長は繁華街のクラブ、キャバレーに営業に歩いた。
 

■「ウチは別の会社と契約しているから…」とほとんどの店から断られたが、そこで働く女性の中に個人で契約してくれる人があった。さらに、中央タクシーには「乗せてやるよ」というスタンスがまるでなかったために、契約してくれる個人客は少しずつ増えた。 

■たとえば、アパートの住人から予約が入った時、他社のタクシーはアパートの下でクラクションを鳴らしたが、中央タクシーの乗務員は車を降り、玄関口でチャイムを鳴らし、「お迎えに参りました」と声をかけた。一方通行で車を停められないところでは、「今から一方通行の道にゆっくり入ります。目の前まで来たら合図して止めてください」と案内掛を経由して連絡を入れた。出会えなかったらぐるっと回って出会えるまでそれを繰り返した。 

■かなりの距離を走らせて迎えに行き、お客様が指定する行き先がすぐ近くだったとき、他社の乗務員は「ちぇっ」と舌打ちした。しかし、宇都宮さんは「お客様が先、利益は後」と教えた。目の前の仕事の損得にいちいち喜んだり腹を立てたりするのではなく、まずはお客様に満足を提供せよというのである。そのようにして会社の評判が高まり、中央タクシーの本社の電話が鳴るようになった。現在では電話によるお客様が9割を超えている。 

取材先 中央タクシー
取材  2011/10/21
掲載  リーダーシップ2011/12
本文  
chuotaxi.pdf へのリンク 

 
↑中央タクシー、右はタクシー配車センター
 
【130210】 半ば強引に実績をつくる    


■ハードロックナットの前身「Uナット」を開発した若林克彦さんは、それを売り込むために省力機器メーカーを訪ね歩いた。1960年代のことである。当時の工場は誰でも簡単に入れた。
 

■数百個入りの箱を持って勝手に現場に入り、作業者に「このナットは絶対に緩みません。使うてみてください」と声をかけて置いて帰った。 

■2週間ほどたって行ってみると「あれは便利や。全部使うてしもた。ところで、上の許可を得てるんやろうな」と作業者が聞いた。「いや、実は許可は得ていません」そう答えると、相手は慌てた。だが、Uナットを取り付けたローラーコンベアは既に大手電機メーカーに出荷されていた。

■それが最初の実績になった。半ば強引に実績をつくり、その実績をアピールして回ることで、他の省力機器メーカーにも入り込むことができたという。 

取材先 ハードロック工業
取材  2012/05/14
掲載  リーダーシップ2012/07
本文  hardlock.pdf へのリンク
 

 ←各種ハードロックナット
 
【130211】 バイク店の下働きを引き受けて協力店を組織する    


■ジャパンベストレスキューシステム社長の榊原暢宏さんは、困っている人を見たら放っておけない人である。学生時代、バイクで夜間に国道を走行中、側溝にはまって立ち往生しているバイクをロープで引っ張り上げるのを手伝ったことが何度かあった。

■自動車には電話1本で助けに来て貰えるJAF(日本自動車連盟)という組織があるが、バイクにはない。自分でそれを作ろうと「有限会社ノア」を立上げ、各地のバイク屋を訪ね歩いて次のように説得した。「バイクレスキューの会社を立ち上げました。道路上で事故を起こしたバイクからの連絡をウチで受けますので、その時は助けに行ってあげてくれませんか?」

■2つ返事で協力してくれるバイク屋は1軒もなかった。そこで、バイク屋の下働きを引き受けた。店先を掃除したり、バイクを運んだり、事故を起こしたバイクの引き上げを手伝ったり、車検のために朝早くから並んだり、あるいは、夜にお酒が入って車に乗れない店主に代わって事故現場に駆けつけたり…。

■やがて「世話になったな。だったら、キミの会社に登録だけしておくよ」と言って貰えるようになり、こうして、協力を申し出てくれるバイク屋が少しずつ増え、やがて全国のバイク屋3000店を組織化。その後、鍵のトラブル、水回りのトラブル、ガラスのトラブル、パソコンのトラブルなど、生活レスキューサービスの体制を整え、1999年、会社名を「ジャパンベストレスキューシステム」に変えた。

取材先 ジャパンベストレスキューシステム
取材 2013/07/22
掲載 リーダーシップ2013/10
本文 jbr.pdf へのリンク
 
 
↑バイクレスキュー作業(左)と困りごとを受け付けるコールセンター
 
【130212】 海外の旅行会社に直接営業活動を展開する     


■ほとんどのホテルは、集客を大手旅行代理店に依存しているが、旅行代理店は自社で販売するために十分な部屋数を預かり、売れなかった部屋は直前に返却してくるからどうしてもロスが出る。

■そこで、道頓堀ホテルの責任者、橋本民元専務は、中国・台湾・香港・韓国などの海外の旅行代店に毎月直接営業活動に回り、その会社のパンフレットやホームページに道頓堀ホテルを入れてもらい、掲載順位を少しでも上の方に上げてもらうよう頼んで回っている。

■これによって、宿泊室稼働率は90%を超え、「この日、空いていますか?」ではなく「空いている日、ありますか?」という問い合わせが増えているという。

取材先 王宮・道頓堀ホテル
取材 2015/08/11
掲載 リーダーシップ2015/10
本文 dotonborihotel.pdf  

 ←道頓堀ホテル正面
 
【130213】 現地の人の生活に飛び込んで商談を成立させる    


■東海メディカルプロダクツの筒井宣政会長は、大学卒業と同時に父から東海高分子化学という会社を引き継いだとき、父が連帯保証人になっていた会社が倒産し、莫大な負債を抱えていることを知った。
当時のこの会社の収入で返済するには72年と5カ月を要する莫大な金額だった。来る日も来る日も必死になって働いたが、借金はなかなか減らなかった。

■あるとき、商社に勤める友人から、アフリカの女性向けに塩ビ製の髪結い紐を作れば儲かるという話をきいて、試作品を作って単身アフリカに乗り込んだ。当初は何の手がかりもなかった。だが、言葉が通じなくても、風習や生活スタイルが違っていても、すっと人の中に入って、その心をとらえることのできる人だった。数週間かけて現地人の生活に入り込み、現地の貿易商の信頼を得て商談を成立させた。塩ビ製の髪結い紐の輸出が始まり、その輸出先がアフリカ各地に広がって、72年と5カ月分の借金を7年にまで短縮させることができた。

取材先 東海メディカルプロダクツ
取材 2016/11/02
掲載 リーダーシップ2017/01
本文 tokaimedpro.pdf へのリンク 

 
 【130214】 一流の会社を得意先にする    


■太陽パーツ社長の城岡暘志さんは、何軒かの家庭用日用品のメーカーのために金属部品を作ってきたが、そのうちの1軒から取込詐欺に合い、1年分の代金1億円を回収できなくなった。1年半に及ぶ裁判の末、回収できたのは6割に過ぎなかった。

■三流の会社と取引するからこんなことになる。一流になりたかったら一流の会社と取引するしかないと城岡さんは考えた。そこで、伝手を頼って大手電機メーカーM社に、月10万円でいいから仕事をさせてほしいと頼み込んだ。最初は相手にしてもらえなかったが、何度も足を運ぶうちに先方もその熱心さに根負けして、ついにテレビ部品の小さなピンを作る仕事をやらせてもらえるようになった。

■城岡さんは会社を法人化し、会社案内カタログを作り、取引先として大手電機メーカーM社の名前を書き入れ、それを持って上場企業11軒を回って営業した。「取引先がM社?…ウソやろ?」と行く先々で言われたが、「いや、本当です。調べてもらって結構です」と言い張り、「案外本当かもしれない、この男はすごい実力の持ち主かもしれない」と思ってくれた何社かの上場企業から、部品加工を見積もらせてもらうことができた。その見積額がどこよりも安く、加工も間違いないものだったから、注文は次第に伸びていった。

取材先 太陽パーツ
取材 2017/12/08
掲載 リーダーシップ2018/02
本文 taiyoparts.pdf へのリンク

 ←パナソニックと共同開発したシステムキッチン
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