絵で見る創意くふう事典  》 第13章 顧客指向  》 B好感度を高める
 
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顧客指向‐1303 B好感度を高める BACKNEXT

製品サービスは販売・サービスを担当する人を通じて売れていきます。販売・サービス担当者がその役割を果たすためには、お客さまから好感を持たれることが不可欠です。ではどうしたら好感を持ってもらえるか、以下はそのための工夫です。


 このページの掲載事例→                             ●130301 身だしなみの基準をつくる  
●130302 接客基本用語を唱和する  
●130303 接客用語の勉強会を開く  
●130304 笑顔をつくる  
●130305 笑顔キャンペーンを展開する  
●130306 接客対応をチェックする
●130307 チェッカーコンクールで接客対応を競う  
●130308 タクシーのお客様満足度を高める
●130309 ホテルの接客サービス研修 
●130310 同じ目線で話しかける
●130311 心からの思いやりで接する 
●130312 知りませんとは言わない
●130313 お客様の都合を優先させる
●130314 いつものお客様を大切にする
●130315 担当者の名前を表示する
●130316 生産者の名前を表示する 
●130317 対面で販売する
●130318 もっと謙虚になる
●130319 相手の反応を見て態度を決める
●130320 二日酔いのお客様に胃薬を用意する
●130321 陰膳を用意する 
●130322 Tシャツに寄せ書きする
 
【130301】 身だしなみの基準をつくる   

■コープこうべの事例。従業員の身だしなみを整えることでお客様(組合員)に清潔感と好印象を持ってもらえる。また、従業員の仕事に対する心構えもできる。そのために右のような身だしなみの基準をつくり、セルフチェック、ペアチェックを行っている。


取材先 コープこうべ
取材 2000/01/08
掲載 燃えよリーダー2000/02
 
 
 
【130302】 接客基本用語を唱和する   

■コープこうべの事例。常に感謝の気持で接客できるように「接客応対の8大用語」を決め、店内ミーティングで唱和している。
売り場責任者は朝夕のピーク時におすすめ商品を大きな声で訴えるために発声練習している。


取材先 コープこうべ
取材 2000/01/08
掲載 燃えよリーダー2000/02
 
 
 
【130303】 接客用語の勉強会を開く  

■麺類チェーン店、グルメ杵屋の事例、パート・アルバイトの新人に正しい接客用語を教えるために店長が講師となって接客用語勉強会を開いている。

取材先 グルメ杵屋
取材 1999/10/05
掲載 燃えよリーダー1999/11
 
 
【130304】 笑顔をつくる  

寿司チェーン店、音羽の事例。本部から客数が伸びていないと指摘を受け、従業員が話し合った結果、笑顔がない、大きな声が出ていない、返事がない、などの問題があることがわかった。そこで、次のような方法で笑顔、声だし、身だしなみをお互いに確認することにした。

@笑顔をつくる
・店長が笑顔を作る教育を行った。
・「イ」の発音をすると笑顔が作れる。・当店を選んでいただいた、そのことへの感謝の気持ちを自然に表現すれば、それが笑顔になる。
・鏡を置いて各自でチェックすることにした。
 
 

A大きな声を出す
・毎朝朝礼時に発声練習を行った。
・声が小さいときは周りのものが注意することにした。
 
 

B身だしなみ
・ユニフォームが汚れていないか、朝礼時に互いにチェックすることにした。




取材先 音羽京都祇園店

取材 1999/09/23
掲載 燃えよリーダー1999/11


 
 
 
【130305】 笑顔キャンペーンを展開する   

■スーパーマーケットライフコーポレーションの事例。「笑顔で接客キャンペーンを展開。売場チーフが従業員に次のポイントを教育し、結果を自己採点し、その点数推移を公開してポイントアップをめざした。

@売り場に出るときは必ず「いらっしゃいませ」という。

Aお客様と目が合ったら「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」という。
B問い合わせに応えられない時はすぐ責任者にとりつぐ。

C自店の設備、サービス、営業内容を説明できるようにする。

D売り出し商品の場所を案内できるようにする。

Eマニュアル通りの身だしなみができている。

取材先 ライフコーポレーション

取材 2000/01/07
掲載 燃えよリーダー2000/02
  
 
 
【130306】 接客対応をチェックする  
■喫茶店、レストラン、パブ、キャバレーなどを展開する親和観光産業の事例。サービス意識向上のために次のようなチェックリストで自分たちの1週間の接客活動を振り返り、改善のきっかけづくりをしている。  

取材先 親和観光産業
取材 1984
掲載 創意とくふう1984/12

 
 
【130307】 チェッカーコンクールで接客対応を競う  

■ライフコーポレーションではスーパーのチェッカーの接客態度をレベルアップするためにチェッカーコンクールを実施。次の各項について採点し、優秀者を選抜し、表彰している。

@食品と石鹸など匂いのつくものを分けて入れているか
A寿司を購入されたお客様にお箸の要・不要を聞いているか
Bパンなど柔らかいものの上に重いものをおいえいないか
C表示通り値引きされていないなどのお客様の苦情に適切に対応しているか
  

取材先 ライフコーポレーション
取材 2000/01/07
掲載 燃えよリーダー2000/02
 
 
【130308】 タクシーのお客様満足度を高める  

■大川タクシー(香川県高松市)の事例。お客様第一主義を徹底するために次のようなマナー教育を行なっている。
・ドアを開けるときは車を停めてドアを開ける
・お客様が行き先を言われたら復唱する・言葉遣いは丁寧に
・運転は安全第一かつ迅速に
・服装・身だしなみ・車内はいつも清潔に
・お客様が降りられるときは「ありがとうございました」と言い、「お忘れ物はありませんか」と確認する

■これらができているかどうかをアンケートハガキにして営業担当がランダムにお客様に渡し、返ってきたハガキに「行き先を言ったのに返事しなかった」「運転が乱暴だった」「服装がだらしなかった」などにチェックがあれば、再教育する。

■「当社はISO9001の認証を取得しました。お気づきの点がありましたらご連絡ください」と車内に表示。お客様の声に応えていくシステムが出来ていることを内外にアピールした。

取材先 大川タクシー
取材 2003/04/08
掲載 燃えよリーダー2003/05
  
 
 
【130309】 ホテルの接客サービス研修  

■「ホテル」という言葉は「ホスピタリティ(もてなし、歓待)」や「ホスピタル(病院)」と同じラテン語の「ホスピターレ」から来ている。キリスト教の修道院が飢えている人たちに食事を提供したり、寝るところのない旅人に一夜の宿を提供したり、病気の人や孤児たちや身寄りのない高齢者たちに親切にしたことが、そそもそものホテルの起源で、その背景に「汝の隣人を愛せよ」というキリスト教の教えがある。修道院によるこうした慈善事業を18世紀の産業革命以降にお金を取ってビジネスにしたのがホテルである。

■リーガロイヤルホテル大阪のお客様サービス推進室長・増田雅弘さんが従業員にサービスの基本を教えるとき、このホテルの起源から説き、ホテルのサービスにはマニュアルやテクニックを越えた人への思いやりや労りがなくてはならないと教えている。増田さんがサービス研修の中で教える基本的なポイントは次の通り。
 

@何が求められているか察する

増田さんが新入社員だった頃に先輩社員から繰り返し言われたのが「タバコと言えばマッチ」だった。タバコが欲しいと言われるお客様の言葉通りタバコだけ持っていっても役に立たない。タバコを吸うにはマッチがいる。お客様の言葉だけでなく何をしようとしているのか、心の中まで読んで必要なものを提供することがサービスの基本である。

 
 

Aマインドをもって挨拶する

挨拶の仕方は人によってさまざまだ。あまり表情を変えず「いらしゃいませ」という人もいれば、満面の笑みを浮かべてハートを込めて言う人もいる。目の前のお客様にしか挨拶しない人もいれば、少し距離のあるところからでも「いらっしゃいませ」と声をかけるひともいる。研修では様々な場面をシミュレーションして、その場その場に応じた最適の挨拶と笑顔をみんなで検討し、その中から全社の標準的な挨拶の仕方を作り上げている。

 
 
 

B沈黙を作らない

例えば、お客様がレジストレーションされるとき、はじめてフロントに立ったホテルマンはお客様が住所氏名を記入されるのをただ黙って見ているだろう。しかし、ベテランのホテルマンならお客様が書かれる住所をみて「あっ、北海道からおこしですか。これはこれは遠いところをありがとうございます。で、大阪へはお仕事でございますか…?」とさりげなく言葉をかける。おもてなしする側が黙ってしまうとお客様は戸惑い、居心地の悪さを感じるものだ。常にお客様に関心を払い、お客様の今の気持を察してかけるべき言葉を見つけていくことが大切だ。中には話したい気分でないひともいらっしゃるので、その見極めも必要になる。

 
 

C後ろのお客様に声をかける

フロントでもレストランでも売店でも、お客様が並ばれたときに、目の前のお客様に集中しすぎて後ろのお客様がほったらかしになるのは禁物である。「お待たせして申し訳ありません。もう少々お待ちいただけますか?」とタイミングを見計らって後ろのお客様に声をかけることが大切だ。たとえ待たされてもその一言で自分が気にかけて貰っていることが分かり、満足を感じ、ホテルに好印象を持つ人が少なくない。

 
 

D積極的に情報提供する

レストランのウエイターの場合も「これがメニューです」とメニューを差し出したままだまってしまってはいけない。「今日は活きのいい魚が入りました。鯛のソテーなどは如何でしょうか?」とホテルとしてのおすすめメニューを紹介する。押し付けになってはいけないが、判断材料となる情報をタイミングよく積極的に提供すれば、お客様を戸惑わせることがない。ちょうど町の魚屋さんと同じことをスマートにするのがホテルなのだ。

 

取材先 リーガロイヤルホテル大阪
取材 1999/09/30
掲載 燃えよリーダー1999/11

 
 
 
【130310】 同じ目線で話しかける  
病院の事例。腰を掛けている患者さんに立ったまま話しかけると、見下ろすことになり、威圧感を与える。そこで、看護師は自分もしゃがんで目の高さを同じにして話しかけ、患者さんに安心感と親しみを与えることを心がけている。

取材先 日本鋼管福山病院
取材 1999/05/26
掲載 課題達成型QCストーリー展開事例集
   
 
【130311】 心からの思いやりで接する  

■東京ディズニーランドでは「すべての仕事はゲストのために」「すべてのゲストはVIP」というディズニーのポリシーが徹底されており、すべての仕事は厳格なマニュアルで規定されている。

■しかし、ゲストにどんな言葉をかけるか、どんな態度で接するかまでは規定していない。ここで働くパート・アルバイトのキャストの多くはディズニーランドの熱烈なファンで、自分自身がゲストとして受けた感動が忘れられず、今度は自分がゲストに夢と感動を与える側に回りたいと思ってキャストになった人たちで、微笑みも心遣いも彼ら自身の思いやりの心からである。

■マニュアルではなくキャストの心からの接客応対だからゲストは感動を感じてしまう。


取材先 オリエンタルランド(tanbouki010)
取材 2006/05/18
掲載 ポジティブ2006/08
本文 
orientalland.pdf へのリンク 

 
 
 
【130312】 知りませんとは言わない  

装粧品卸売業、寺内の事例。

■商品の素材や特徴、メーカーについて、あるいは自社の仕入れ体制など、お客様から何かを尋ねられたとき「わかりません」「知りません」と答えてしまうと、お客様との関係はそこで切れてしまう。

■たとえ自分で答えられなくても、答えられる担当者に代わって対応してもらったり、あるいは、連絡先を聞いて、後で調べて連絡するなどの方法で、可能な限り関係をつながねばならない。

■そこで新入社員やパートまで含めて「知りませんとはいわないキャンペーン」を展開した。


取材先 寺内
取材 1980
掲載 改善提案ハンドブック
 
 
 
【130313】 お客様の都合を優先させる  

磁石販売業は入手ルートが一般にはオープンになっておらず、新規参入が難しいため「売ってやる」という殿様商売がまかり通っていた。

■ハウス営業から磁石専門商社のトップに転身した二六製作所の八田明彦社長は、そこにお客様1人ひとりを大切にする次のような営業スタイルを作り上げて、業績を伸ばした。

@自分たちの都合よりも、お客様の都合を優先させる。そのため、電話やメールによる顧客からの問い合わせにはすぐに返事する。調べるのに時間がかかる場合は、途中で進捗状況を伝える。

Aお客様から要望された商品がなかったら、可能な限り取り寄せ、次回からそれを品揃えに加える。

 


B夕方5時までに入った注文は、その日のうちに発送する。当初は翌日発送になること多かったが、受注管理と請求書の作成、梱包作業の合理化をすすめ、まず午後2時までの受注分を当日発送する体制をつくり、次いで、午後5時までに入ってきた注文は、すべて当日発送できるようにした。

C送料と代引手数料は二六製作所が負担する。いちばん安いものでは1個29円というフェライト磁石があるが、その場合でも送料と代引手数料を無料にした。当初は遠隔地については送料を負担してもらっていたが、すべてのお客様を公平に扱っているというイメージを大切にして、そのように改めた。


D磁石を発送するとき、プチプチ(気泡緩衝材)にくるみ、セロテープで止める。それを開梱するときテープの端が見つけにくく、剥がすのが大変だった。そこで“THANKYOU”と印刷されたテープを使い、その端を必ず折り返しておくことをルール化した。


取材先 二六製作所
取材 2014/07/15
掲載 リーダーシップ2014/09

本文 niroku.pdf へのリンク
 
 
【130314】 いつものお客様を大切にする  

■1998年、長野で冬季オリンピックが開催されたとき、スポーツとメディアの関係者が市内各所の競技会場を行き来するために、タクシーを割高料金で借上げ予約した。タクシー会社はオリンピック特需に沸いた。

■中央タクシーのタクシーも1カ月前には予約で完売したが、そのときある乗務員が言った。「でも、市民の足がなくなっちゃいますよね。ウチの車で病院に通っているおばあちゃん、どうするんでしょうか。私たちはやっぱりいつものおばあちゃんのところに行くべきじゃないでしょうか」

■それを聞いて当時の宇都宮恒久社長は、オリンピック特需をキャンセルし、市民の足に徹することを決めた。

■オリンピック後、他社の業績が急速に落ち込んだのに対して、同社はお客様を大切にする会社としての評判を高め、市内タクシー会社のトップに躍進した。


取材先 中央タクシー(126)
取材 2011/10/21
掲載 リーダーシップ2011/12

本文 chuotaxi.pdf へのリンク
   
 
 
 
【130315】 担当者の名前を表示する  

[事例1]
自分の名前が表示されると後々まで責任の持てる仕事をしなければという意識が高まり、お客様の信頼感も高まる。そこで、バス切符売場の窓口に名札を掲げることにした。

取材先 三重交通
取材 1980
掲載 自己啓発1981/01
 
 

 [事例2]
お客様サービスの窓口を明確にするため、各売り場に売り場責任者の名前と写真、一言コメントを貼った。

取材先 寺内
取材 1980
掲載 寺内「提案へのアプローチ」
 
 

[事例3]
病院の事例。「患者さん」「看護師さん」と立場や役職名呼び合うのでなく、「○○さん」と個人名で呼び合うと、人間対人間の関係が生まれやすくなる。そこで
看護師の自覚と責任感を高め、患者さんから名前を憶えてもらえるよう、看護師は大きな名札を付けることにした。

取材先 日本鋼管福山病院
取材 1999/05/26
掲載 課題達成型QCストーリー展開事例集
 
 
 
【130316】 生産者の名前を標示する   

■減農薬や無農薬など、目に見えない品質がお客様の大きな関心になっている。そこで、指定農園からの野菜に生産者の氏名と写真を表示して高品質を保証し、「朝3時に収穫しました」などと書き添えて新鮮さを強調することにした。


取材先 オリンピック高井戸店
取材 1999
掲載 燃えよリーダー1999/11
 
 
 
【130317】 対面で販売する  

■システム化と効率化を追求した量販店では、人と人のふれあいは、大幅に省略されているが、その対極にあるのが昔ながらの対面販売である。

■「おばちゃん、これどうやってたべるが…?」「これは、こんな風に料理したら美味しいよ」土の香り、海のにおいの漂うなか、人と人との対話の中でモノが売られ、素朴な感動がある。

■写真は高知市
内の街路市。江戸時代から300年つづく伝統の市で、高知城追手門から東へ伸びる追手筋1.3キロに、毎日曜日、農業者、漁業者、食品加工業者など430店が並ぶ。いつもここで買い物をするという市民が少なくなく、県外からの観光客も多い。

取材先 高知市シルバー人材センター
取材 2014/07/19
掲載 月刊シルバー人材センター2014/10
  
 
 
【130318】 もっと謙虚になる  

■シルバー人材センターでは駐車場・駐輪場・公共施設の管理業務を請け負っているが、就業会員の中には接客態度が横柄で、利用者から苦情が出ることがあった。そこで、堺市シルバー人材センター理事の橋本一三五さんは接遇研修の中で、自分の失敗談を語り、加齢による頑固さに気付いて、もっと柔軟に、もっと謙虚になりましょうと訴えている。

■「夕食後にテレビを見ていてうとうとしていました。私が寝入ったのを見て妻が、巨人・阪神戦からメロドラマにチャンネルを変えたんです。寝てるからわからんはずやのに、変えたとたんにむくっと起きて、『なにすんのや!』と思わず大きな声が出ました。同じような経験されていませんか? 寝ててもわかるというのは大したもんや。年をとって仙人の境地に近づいたと、そのとき私は思っていました。ところが、テレビであるお医者さんが、『このような人はボケが始まっている』というのです。寝てる人はチャンネルを変えられたところでなんら自分に関係がない。それなのに『なにすんのや』と起き上がるのは、かたくなで理屈に合わない行動です。ボケが始まったのです。自分ではわからない。人に言われて初めてわかるのです」

受講者はみんな大笑いし、共感し、同じことが自分にもあると気付いて、自分の老化を意識。自分ももっと謙虚にならなければと思ったそうだ。

相手の立場で考えて行動すればもっと優しくなれる。こちらが優しくなれば、相手も歩み寄ってくれると橋本さんは説く。この接遇研修で、発注者や利用者からの苦情が激減したという。 

取材先 堺市シルバー人材センター
取材 2009/08/13
掲載 月刊シルバー人材センター2009/11
 
 
【130319】 相手の反応を見て態度を決める  

■大阪市シルバー人材センターの公営駐輪場の管理業務でしばしば利用者との間にトラブルが発生した。

■「お兄ちゃん、この自転車、向こうへ置いといて」とシルバー会員が言った。親しみを込めた言い方のつもりだったが、利用者の若い男性は「こっちはお客さんやろ、もっと丁寧に言えや」と怒り出した。「ワシはこの言い方でずっと通してきた。それ以外の言い方はできん」と返すと「どういうことや、それは!」と火に油を注いだ。シルバー会員には相手が怒った理由がわからなかった。

■マナー研修会の講師が指摘したのは、人には様々な価値観があるということである。シルバー会員には自分なりの生き方、自分なりの態度や言葉遣いで60年、70年生きてきたという思いがあり、それが正しいと思っている。しかし、相手は会員と同じ環境を生きてきたわけではない。親しみを込めたつもりでも、上から目線で見下していると受け取ったのだろう。当時の雇用情勢は今より厳しかった。その厳しさを全身で感じていた若者には、シルバー会員が気楽な仕事でお金を稼いでいるように見えたかもしれない。

■どんなお客様にも共通して受け入れられる正しい言い方や態度はない。正解があるとすれば、それは相手の反応を見て、次にどういう言葉を発するか、どういう行動をとるかである。人生経験豊かな高齢者ならそれを見極める力は備わっているはず。いたずらにこちらの主張を押し付けるのではなく、一歩引いて相手の思いを察知し、対応してほしいと講師は説いている。 

取材先 大阪市シルバー人材センター
取材 2013/08/27
掲載 月刊シルバー人材センター2013/11
 
 
【130320】 二日酔いのお客様に胃薬を用意する  

■ゴルフ場のレストランでの事例。あるお客様が「今日は二日酔い気味だからザルソバでいいよ」と言われた。それを聞いたサービス係はしばらくして「よろしかったら、これをお使いになりませんか?」と胃薬を差し出した。お客様はこの心遣いに大いに喜ばれたという。

■この会社ではマニュアル化された機能的サービスだけでなく、その場その場の状況に応じた心遣い(情緒的サービス)を従業員に奨励している。情緒的サービスのうち標準化が可能なものは、その都度マニュアル(機能的サービス)の中に組み入れていく。 

取材先 千葉夷隅ゴルフクラブ
取材 2002/09/22
掲載 燃えよリーダー2002/11

本文 chibaisumi-gf.club.pdf へのリンク
  
 
 
【130321】 陰膳を用意する  

■日本旅館の例。この旅館の接客係は1人ひとりのお客様に真剣に向き合い、常に最大限の顧客満足を提供することを心掛けている。接客マニュアルはあるものの、みんなそれ以上の心に残るおもてなしをこころがけている。

■年1回の旅行を楽しんでいるあるグループで、次は「観光地を巡って、最後にあの日本一の旅館に泊まろう」という計画が持ち上がった。ところが、計画の2か月前に発案者の会長が急逝した。メンバーたちは会長の遺影とともに旅行を決行し、旅館に着くと、海の見えるテーブルに会長の遺影を置いた。

■それを見つけた接客係はメンバーから事情を聴き、遺影に合唱してから、「それじゃ、少しお待ちください」といって、遺影に陰膳を備えてくれた。メンバーたちは思いがけないサービスに感動し「会長、よかったね」と全員で乾杯したという。


参考文献:細井勝著「加賀屋の流儀」(PHP研究所、2006)
   
 
 
 
【130322】 Tシャツに寄せ書きする  

ビジネスホテルに女子学生が受験の下見のために宿泊した。彼女は友人たちが「がんばってね」と寄せ書きしたTシャツを置き忘れてチェックアウトした。

■忘れたことに気づいた彼女が問い合わせてきたときには,部屋にはもう残っていなかった。「とても大切にしていたのに…」と聞いた支配人は青くなったが,二度と出てこなかった。

■そこで支配人は新たにTシャツを買い求め,従業員全員で「受験,がんばってください」と書いて贈った。

■彼女は気持ちを取り直し,受験の際に再びこのホテルに泊まって見事合格。「このTシャツのおかげです」と喜んでくれたという。
取材先 スーパーホテル
取材 2010/08/30
掲載 リーダーシップ2010/11

本文 superhotel.pdf へのリンク
 
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