絵で見る創意くふう事典  》 第13章 お客様  》 Fお客様の声を聞く
 
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お客様‐1307 Fお客様の声を聞く BACKNEXT


ビジネスはお客様との関係の構築です。お客様の意見要望に耳を傾け、それに応えようと努める中からビジネスチャンスが生まれます。ここではそのための工夫を集めました。

 このページの掲載事例→           ●130701 サービス提供後にCSコールをする  
●130702 お客様満足度をライバル会社と比較する
●130703 お客様の声を新規分野開拓に結び付ける 
●130704  お客様の生の声を収集。事業ネットワーク連携を強化する
●130705  かかりつけ医を訪問、病院への要望をきく
●130706  お客様の要望をすべてその通りやってみる
●130707  得意先の本音をきく
●130708  「買ってください」とは言わず、先方のニーズが高まるのを待つ 
●130709 消費者座談会を開く
●130710 男性の職人たちの声を聴き、女性たちが製品をつくる
●130711 ユーザーの声を徹底調査する
●130712 どんな葉っぱが求められるか教えを乞う 
●130713 マン島TTレースとF1に参戦する 
 
【130701】 サービス提供後にCSコールをする    

■兜髄野のクリーンサービス事業では、サービス提供の3日後に「先日のサービスにご満足いただいていますか?」という確認の電話を入れている。

■これをCS(顧客満足)コールと呼んでおり、十分でない部分があれば、すぐに出向いて行ってやりなおす。

■これによってお客様の不満を取り除き、クレーム発生を未然に防止しているが、仕事に追われるとなかなかその時間が取れない。そこで、CSコール順守100%を目標に各グループの順守率を公表し目標管理している。




取材先 武蔵野
取材 200/09/13
掲載先 燃えよリーダー 2002/11
探訪記 
http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki001.html
 
 
【130702】 お客様満足度をライバル会社と比較する   


■お客様アンケートで「よい」という評価を得られたとしても、それがどの程度「よい」かは、ライバル会社と比較しなければわからない。

■そこで、兜髄野のクリーンサービス事業では、ライバル会社を利用しているお客様に、自社のアンケートと同じ項目について、ライバル会社を評価して貰い、その結果を自社の結果と比較。自社が劣っている項目について改善追求している。




取材先 武蔵野 
取材 2002/09/13 
掲載先 燃えよリーダー 2002/11
探訪記 
http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki001.html

 
【130703】 お客様の声を新分野開拓に結びつける  


事務用品通信販売業、アスクルでは事務所の中心にお問い合わせセンターのデスクが円形に並び、営業やサービス開発などの部署がそれを取り囲んでいる。

センターの数百人の担当者は、コンピュータ画面の顧客の注文履歴を見ながら「頼んだ商品、いつ届きますか?」「こんな商品取り扱っていますか?」などの顧客からの電話による問い合わせに対応し、やり取りを記録している。

通信販売では顧客とのやり取りがデータとして残る。それを分析すれば顧客がいつ何を買っているのかが把握でき、その上に「こんな商品ありませんか?」という問い合わせ情報をもとに、この会社は取扱商品を創業当初の500アイテムから数万アイテムにまで増やしたという。




取材先 アスクル
取材 2006/01/30
掲載先 ポジティブ 2006/04
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki008.html

 
 
【130704】 お客様の生の声を収集。事業ネットワークの連携を強化する  


■福井県生活協同組合には、組合員から注文を聞いて届ける無店舗事業と店舗事業がある。このうち店舗事業の利用高は、郊外に大型スーパーの出店が相次いだために伸び悩んでいた。

■そこで、生協の2つの事業について、お客様の層、購買品目、購買の動機、量、頻度をひとつひとつ掘り下げ、組合員が何を求めているかを調査した。その結果、無店舗事業と店舗事業のお客様は重なっており、重い物や日持ちのするものは無店舗事業で、生鮮食品や日用品は店舗を利用していることが分かった。

■店長は店で試食を勧めながら、来店者の生の声を聞き、無店舗事業の配達担当職員たちは、訪問先の1軒1軒から店舗に対する要望を聞き、店舗にフィードバックし、その結果、「売場がこんなふうに改善されました。一度店の方にでかけてみてください。他の組合員さんにも知らせてあげてください…」と逐一PRして歩いた。

■これらの活動によって、生協への信頼感が広がり、来店客数が増加に転じた。



取材先 福井県民生協
取材 2008/06/26
掲載先 ポジティブ 2008/09
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki070.html

 


ハーツ学園店(上)と無店舗事業
 
【130705】 かかりつけ医を訪問、病院への要望をきく  


益田地域医療センター医師会病院の患者は、大半が医師会会員からの紹介で、病院経営は患者を紹介して貰えるかどうかにかかっていた。

■かかりつけ医こそがお客様であり、かかりつけ医の支持を得るには患者の満足と支持が不可欠である。そこで、同病院は、かかりつけ医と患者の満足と支持を高めるためにTQM活動を展開した。
 

■管理職のサークルは、地元の約50箇所の開業医と20箇所の介護施設を年に1回訪問し、そのとき、病院への要望を聞くとともに、職員の対応やサービスの品質について聞き取りを行っている。情報交換のなかで指摘された事項はすぐに改善に結び付けており、現在ではほとんどクレームはなくなり、相互の連携強化に役立っている。 



取材先 益田地域医療センター医師会病院
取材  2012/04/18
掲載先  リーダーシップ 2012/06
探訪記 
http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki131.htm

 
QC研修会
 
【130706】 お客様の要望をすべてその通りやってみる   

■北九州市のスーパー、ハローデイの加治敬通社長は、先代から経営危機に陥った16店舗を引き継いだ。利益が出ていたのは2店舗だけだった。どうしたら売り上げを上げられるか、売れているスーパーを研究し、その売り方、陳列方法、品揃えを徹底的に真似した。

■真似をしつくすと、次に、お客様に「何か不便なこと、なかったですか?」と聞いて回った。「袋菓子は1人では食べきれない。バラで売ってもらえないか」「鮭はこんなに薄く切ってはダメだ。せめてこれくらいでないと…」「5切れもパックにしてはダメだ。お弁当に入れるときは1切れでいいんだから…」

■いろんなことを言ってくれるお客さまがいて、聞いた要望はすべてその通りやってみた。それが好感を持って受け入れられ、1年後、店の売り上げは前年の50%増となった。 



取材先 ハローデイ
取材 2013/11/19
掲載先 リーダーシップ 2014/01
探訪記 
http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki152.html

 
ハローデイの店舗
 
【130707】 得意先の本音をきく   

■高品位ナットなどファインパーツメーカーの西精工では、総務や技術など営業担当以外の社員が得意先を訪問して、「ウチの製品、どうですか?」「ウチの営業はどうでしょうか?」と顧客満足度調査を行っている。普段接触している営業担当以外の社員が行くことで得意先の本音が聞ける。

■また、同社製品は商社や問屋を通じて最終ユーザーである自動車メーカー、電機メーカー、あるいはそれらの部品メーカーに納入されるが、その最終ユーザーの意見を直接聞くために、商社の担当者に同行して、技術のわかる営業担当が最終ユーザーを訪問している。



取材先 西精工
取材 2014/02/13
掲載先 リーダーシップ 2014/04
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki155.html




西精工の製品(上)と現場作業 
 
【130708】「買ってください」とは言わず、先方のニーズが高まるのを待つ   

■びわこホームの創業者、上田裕康さんが住宅販売の営業マンをしていたとき、1軒1軒ドアホンを押し、来る日も来る日も断られ続けた。

■訪問したある1軒の奥さんからこんな言葉をきいた。「マイホームは喉から手が出るほど欲しい。でも生活するのに精いっぱいで、そんな余裕はないのよ」

■聞いてみると母子家庭で、その生活は上田さん自身の幼い頃のことが思い出され、こんな家庭にこそ幸せになってほしいと思った。

■それがきっかけで、「家を買ってください」とは言わずに相手の話を聞こうと努めるようになった。「いつかマイホームを欲しいと思っていますか?」とは聞いたが、「買ってください」とは言わず、たとえ何年先になっても、先方のニーズがはっきりとマイホームに向かう日を待つことにした。

■その後、ハガキを書き、定期的に訪問し、聞いた話はすべて記録に残した。そういう関係を築くことができたお客様が何十人、何百人になると、その中から「マイホームを考えたいのだが、相談に乗ってくれないか」という話がポツリポツリと舞い込んでくるようになった。

■やがて上田さんはトップセールスマンになり、4年間トップセールスを続けた後、1990年、独立してびわこホームを創業した。



取材先 びわこホーム
取材 2014/11/13
掲載先 リーダーシップ 2014/12
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki163.html

 


びわこホームの規格住宅
 
【130709】消費者座談会を開く     


■葛g村は全国のお茶屋さんに向けて、茶葉の袋、包装紙、手提げバッグなどの包装資材を製造販売している。経済成長とともに売り上げを伸ばしたが、消費低迷の時代に入って売り上げは横ばいから減少に転じた。

■後に同社社長となる橋本久美子さんが専業主婦だったとき、専業主婦の仲間が飲んでいるのはコーヒー・紅茶が中心だった。日本茶は淹れ方がわからない、急須を持っていないという人が少なくなくいことに気がついた。お茶屋さんだけでなく、その向こうにいるエンドユーザーにも目を向ける必要がある、と父である吉村正雄社長に進言。消費者座談会を開くことになり、座談会の内容をPR誌「茶事記」で紹介した。

■あるときの座談会で、参加者の1人が「お茶屋さんでは『お茶』売っていないですよね」というのを聞いた。「えっ?」と思った。よく聞いてみると、彼女がイメージしている「お茶」はすぐ飲める状態になった液体のことで、「茶葉」は母親が買ってくるから、自分には関係がないと思っているらしかった。そんな彼女らに「お茶」に関心を持ってもらうには液体のお茶にして売らねばならない。

■こうして、お茶屋さんの店頭で、水筒(マイボトル)へお茶をテイクアウトする「給茶スポット」のサービスが始まった。また、急須でお茶を淹れる習慣のない人のために、冷水を注ぐだけで、冷たいお茶が飲める「フィルターインボトル」を訴求したり、ティーバッグのパーソナルギフトを提案するようになった。

■消費者座談会は現在も東京で4回、静岡・京都・福岡で各2回、計年10回開催されている。 



取材先 吉村
取材 2016/10/05
掲載先 リーダーシップ 2016/12
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki186.html

 
カタログとPR誌「茶事記」
 
【130710】男性の職人たちの声をきき、女性たちが製品をつくる     


基陽は藤田尊子社長と妹の山下典子常務の姉妹が中心となって安全帯、工具袋、工具など製造販売している。社員の7割が女性。ユーザーは建設現場や工場で働く職人でほとんどが男性である。

■姉妹も社員たちも何かあると現場に足を運び、職人たちの環境、仕事ぶり、工具の使い方を観察し、仕事の合間に時間を取ってもらって意見を聞く。街で自社製品を身に着けている人を見かけると「この製品をつくっている基陽です。ちょっといいですか」と声をかけ、製品への感想や使い勝手を聞いて、製品の開発や改良に生かしてきた。

■近年はすべての製品にアンケートはがきをつけ、「ここをこう変えてほしい」「こんなものをつくってほしい」という返事がかえってくると、社員が手分けしてお礼状を書いている。

■製品にこめられた女性たちのきめ細やかな心遣いが、厳しい作業条件の下で働く職人たちの心をとらえ、売上は好調だという。

取材先 基陽 
取材 2018/08/31
掲載先 リーダーシップ 2018/10
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki208.html

 


安全帯(上)と工具袋
【130711】ユーザーの声を徹底調査する   

■コミー(株)はユーザーの声を聴くことに力を入れ、ミラーの用途開発、製品開発を行ってきた。

■創業当初、回転する凸面鏡「回転ミラックス」を30個も買っていったスーパーマーケットの経営者を訪問し、その用途をきくと、万引防止のためだということが分かった。そこで、万引きGメンを訪ね、万引き防止に効果的なミラーの形や設置場所を探った。

■一方、販売員にも意見を聞くと、万引き防止よりも、手助けを必要としているお客さんに気づくためにミラーを見る方が仕事が楽しく能動的になれる…という意見だった。そこで、気配りミラーととらえ直し、様々なミラーの新製品を生み出した。

■フラットでありながら凸面鏡のように広角の広い範囲を映し出せる「FFミラー」を利用して、エレベーターミラーを開発。それを航空機の手荷物棚ミラーに使えると気づくと、客室乗務員たちに手荷物棚のチェックがどのように行われているかを徹底取材し、それを元に国内外の航空機メーカーに提案して世界中の航空機に採用させた。

■小宮山栄社長は、それらの開発ストーリーをひとつひとつ物語として記録。「コミーは物語をつくる会社です」という本にまとめ、社員に読ませ、社是としてユーザー満足の追及を訴えている。

取材先 コミー
取材 2019/11/07
掲載先 リーダーシップ 2020/01
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki223.html

 


エレベーターミラー(上)と航空機手荷物棚のFFミラー
 
【130712】どんな葉っぱが求められるのか教えを乞う    


■日本食のつまものとして葉っぱが珍重されているのを知った横石知二さんは、これをビジネスにしようと考え、上勝町の葉っぱを集めて、京都や大阪の料亭や割烹店に持って行ったが、まるで相手にしてもらえなかった。

■料亭や割烹店に何度も通い、板前に頭を下げて教えを請うたが、「お前に教える義理はない」と断られた。正面から客として料亭に入って教わろうとしたが、それでも拒まれた。葉っぱを商売のタネにしたいという魂胆が透けて見える。そんな話に付き合う義理はないと、料理も出してもらえなかった。ボロボロ涙がこぼれ、自分という人間が試されているのだと思った。もっと自分を磨くしかないと思った。

■少ない給料をやりくりして、あえて客として高級料亭に通い続けるうちに「そこまで言うなら」と教えてくれる板前が現れた。葉っぱが季節感を先取りするものでなければならないこと、器の色や形に合わせて、様々な色・形・大きさの葉っぱが必要になることを教わり、それに合わせて、求められる葉っぱの品質・栽培方法・供給方法を工夫したことから、徳島県上勝町の葉っぱビジネスが始まった。



取材先 いろどり
取材 2015/09/09
掲載先 リーダーシップ 2015/11
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki173.html

 
葉っぱで彩られた日本料理
 
【130713】マン島TTレースとF1に参戦する     


1959年、本田技研は英国マン島で行われる2輪のTT(Tourist Trophy)レースに初挑戦し,2年後の1961年に125cc250cc両クラスで1〜5位を独占する完全優勝を果たした。

同社はその後、4輪車の生産に参入しF1への参戦を宣言。1964年のドイツグランプリでは惨敗したものの、翌1965年、メキシコ・グランプリでは最初からトップを走り、そのままゴールインする完璧な勝利を収めた。

■「自動車をやる以上、一番困難な道を行く。そのためにグランプリレースに出場し、勝っても負けてもその原因を追究してその技術を新車に投入していく」「レースは技術のバランス、進歩を競う戦場です。世界市場に挑戦しようと思ったら『うちの車はいい』と言ったってラチがあかない。レースは技術改善と宣伝の一番手っ取り早い手段なのです」と本田宗一郎翁は語っている。



取材先 本田宗一郎ものづくり伝承館
取材 2021/08/04
掲載先 リーダーシップ 2021/09

参考文献 野中郁次郎著「日本の企業家7・本田宗一郎」(PHP研究所 2017P80
探訪記 
http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki243.html

 
 
1967イタリアグランプリで優勝
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