絵で見る創意くふう事典  》 第14章 社会  》 A文化を発信する
 
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社会‐1402 A文化を発信する BACKNEXT


 このページの掲載事例→                  ●140201 美術コレクションを一般公開する  
●140202 地域の環境意識を啓発する 
●140203 メッキ教室の開講とYOSAKOIイッチョライへの参加 
●140204 獣医師の勉強会を組織化、運営する 
●140205 過疎の町から文化を発信する 
●140206 宝塚歌劇を育てる 
●140207 お屋敷に和食店を展開する 
●140208 PHPを研究・発信する  
●140209 木の家設計グランプリを開催する  
●140210 創造力とやりとげる執念の大切さを発信する 
 
【140201】 美術コレクションを一般公開する   

■鋳鉄製プーリー製造業、鍋谷バイテックは、織田信長の時代から岐阜で鋳物を作ってきた工房で、現在、その工場は「関工園」と呼ばれている。「工場」というところを「工園」と呼ぶのは周辺に教育施設が集まっている環境との調和を考慮したためである。

■工場らしくない斬新なデザインの建物の入口を入ると、中は樹木に覆われた公園のようにゆったりした景観が広がり、その中に「岐阜現代美術館」があって、地元出身の抽象画家、篠田桃紅(しのだとうこう)を中心とした作品が展示されている。創業家一族の岡本太一会長のコレクションを一般公開したものだという。

■社員でなくても誰でもいつでも中に入って鑑賞することができ、しばしばここでコンサートも開かれるという。同社はここにモノづくりの理想郷をつくろうとしている。

取材先 鍋屋バイテック
取材 2007/07/05
掲載 ポジティブ2007/09
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki044.html

 ←岐阜現代美術館
 
 【140202】 地域の環境意識を啓発する   


■乾式トナー、感熱紙、熱転写リボンなどのOAサプライ製品を製造しているリコー福井事業所では、大量の電気、大量の灯油を消費。大きな環境負荷を発生させており、社会的責任の一環として「環境経営」を推進している。

8S活動(5Sをしっかり、しつこく、信じて推進する活動)、TPM活動、現場のプロジェクト活動などを通じて、CO2排出量削減、ゴミゼロに向けた改善を展開しているが、それと並行して、地域社会の環境問題への啓発のために次のような活動を行なっている。

■工場構内にビオトープをつくり、工場見学に訪れた子供たちにメダカやザリガニと遊ばせるとともに、環境担当マネジャーが「自然教室」を開講。私たち人間が環境を破壊していることを自覚し、省エネ・省資源の大切さを説いている。

■地元の中学校で「温暖化ストップ大作戦」を提唱。家庭で省エネ活動を展開。1年前と比べてどれだけ節電できたかを競い合うよう呼びかけた。社内でも同様の「大作戦」を展開し、家庭内で節電効果を上げた上位チームを表彰。メタボリック症候群対策を兼ねてマイカー通勤を自転車通勤に切り替える運動も実施した。

取材先 リコー福井事業所
取材 2007/04/02
掲載 ポジティブ2007/06
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki038.html

←工場構内のビオトープ
 
【140203】 めっき教室の開講とYOSAKOIイッチョライへの参加   


清川メッキ工業(福井市)ではお父さんやお母さんが会社でどんな仕事をしているのかを知って貰おうと、社員の家族を対象に「めっき教室」を開いた。1人ひとり銅板に絵を描き、絵の部分だけ切り取って、ニッケルめっきと金めっきをして、キーホルダーをつくる。さらに、それを大切な人にプレゼントして喜んでもらうことを体験し、働くことはどういうことかを知ることを目的とした。

■このことを伝え聞いた各地の学校や施設から、ウチでも「めっき教室」を開いてほしいという依頼が入るようになり、入社2〜3年目の若い社員がめっき教室の講師役をつとめている。また、会社のホームページでも「めっき教室」を開講し、そこでもめっきとは何か、めっきはどのように役に立っているか、めっきの歴史…などを分かりやすく解説している。

■さらに、毎年夏に開催される福井フェニックス祭で、同社は異業種の2社と合同でヨサコイの連を作ってそれに参加しており、その連に入って練習を重ね、夏の祭に参加することが、毎年の新入社員の役割になっている。新入社員のときから、異業種と交流し、みんなでくふうし、社会に向けて発信することの一環だという。

取材先 清川メッキ工業
取材 2014/12/22
掲載 リーダーシップ2015/02
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki165.html

 
↑めっき教室(左)とYOSAKOIイッチョライ 
 
【140204】 獣医師の勉強会を組織化・運営する    


■動物医薬品メーカーの日本全薬工業は、創業者の福井貞一氏が1969年に立ち上げた「しゃくなげ会」という獣医師の勉強会を運営している。

■獣医学は日進月歩しているが、獣医師たちは獣医学部を卒業するとなかなかそれを勉強する機会がない。そこで国内外の研究者を招いて講演会を開催しているもので、現在は北海道から九州まで11地区に「しゃくなげ会」があり、同社の学術部が事務局を務めている。

■これらの活動は顧客としての獣医師を囲い込むものだと批判を受けたこともあったが、現在は獣医師の生涯研修を支援する社会貢献活動として高く評価されている。

■同社ではこのほかの社会貢献活動として、ペット殺処分低減への啓発活動、中央研究所での地域児童のための科学体験教室開催、動物への感謝の手紙コンテストなどを行っている。 

取材先 日本全薬工業
取材 2017/05/08
掲載 リーダーシップ2017/07
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki193.html

 
↑「しゃくなげ会」の研修風景(左)と地域児童を招いて開かれる科学体験教室
 
【140205】 過疎の町から文化を発信する     


■石見銀山の町、島根県太田市大森町は、銀山の閉山後、過疎の町になっていた。義肢装具製作会社、中村ブレイスの創業者、中村俊郎氏は、この町の旧家に生まれ、この町を再び世界に誇れる町にしたいという夢を持ち続けていたという。

■中村ブレイスの事業が成長し安定するとともに、中村氏は会社の自己資金で町並みの保存に力を注ぎ、取り壊される寸前だった他地域の歴史的建造物を大森に移築してきた。さらに石見銀山の世界遺産登録にも力を尽くし、2007年に世界遺産登録が実現。多くの観光客がこの町を訪れるようになった。

■現在は、空家になった町屋を買いとって従業員の社宅にしたり、歴史ある静かなたたずまいに魅かれてやってくる町外の文化人や芸術家に町屋を提供。文化人たちは、絵画、工芸作品、音楽、映画など大森を舞台とした作品を世界に発信し、石見銀山の町、大森に向けた人の流れを作り出している。

取材先 中村ブレイス
取材 2019/04/24
掲載先 リーダーシップ2019/07
探訪記 
http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki217.html

 ←石見銀山世界遺産センター
 
【140206】 宝塚歌劇を育てる      


■小林一三(18731957)は、箕面有馬電気軌道の沿線開発の一環として宝塚の観光開発に力を入れた。宝塚新温泉をつくり、温泉客の余興として宝塚唱隊を編成して唱歌を歌わせ、少女歌劇を演じさせた。さらに1919年に宝塚音楽歌劇学校をつくって初代校長となり、この学校の生徒と卒業生によって宝塚少女歌劇団を編成。花組、月組…などいくつかの組に分かれて交互に公演する体制を作った。

■宝塚歌劇について小林は「いい芝居を、安い料金で広く大衆に見せたい」と考えていた。少女歌劇の観劇料は温泉場の余興として当初無料だったが、歌劇場が整備された後も、一般の観劇料が5〜10円だった時代に50銭で歌劇を見せていた。「清く、正しく、美しく」の理念を掲げ、さらに大きく花開かせるために、電鉄会社は歌劇団に多額の補助金を投入し続けた。

■当初は小林自身が脚本を書いたこともあったが、歌唱、舞踊、演出の専門家を次々投入。彼等を外遊させ、欧米の舞台芸術を取り入れてレベルアップを図った。こうした活動が世間からも高く評価され、毎日新聞の慈善事業として大阪市内で公演が行われるようになり、1918年からは帝国ホテルでの東京公演が始まり、さらに1934年には東京宝塚劇場が建てられて、宝塚歌劇は全国ブランドとなった。

■その後、東宝映画を設立。東宝は映画の製作と配給を行ったほか、喜劇、寄席、漫才、歌舞伎など多くの芸能の興行を主導し、宝塚歌劇とともに、この国の文化芸能の一翼を担う役割を果たしている。

取材先 公益財団法人 阪急文化財団
取材 2020/05/30
掲載 リーダーシップ2020/07
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki229.html

 ←パラダイス劇場で演じられた少女歌劇(写真提供 阪急文化財団)
 
【140207】 お屋敷に和食店を展開する      

■がんこフードサービスは1990年、江戸初期の豪商によって建てられた、大阪市平野区の平野郷屋敷を借り上げ、庭園と調度を活かしながら、その中で和食を提供するという取り組みを始めた。

■時代の変化の中で、個人で維持管理することが難しくなったお屋敷を借り受け、和食店を展開することで伝統的建造物の保存に貢献するというこの取り組みは、現在までに関西と関東の9カ所で展開されている。

取材先 がんこフードサービス
取材 2020/06/19
掲載 リーダーシップ2020/08
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouk230

 ←大阪・平野郷屋敷
 
 【140208】 PHPを研究・発信する     


■戦争が終わった時、国土が焼野原となり、人心が荒廃し、国は頼れる状況ではなくなった。自分たちの力で繁栄を築かねばならないと考えた松下幸之助は、繁栄による平和と幸福(Peace and Happines through Prosperity)の実現をめざして、1946年にPHP研究所を設立。雑誌「PHP」を創刊し、大阪府立中之島図書館で毎月1回の研究講座を開催するなど、各界の人々と意見交換し、講演や雑誌を通じて自身の考え方を発信した。

■この活動は1950年にいったん中止されたが、1961年に幸之助が松下電器社長を退任して会長に就任すると再開され、その後、幸之助は1978年には政治経済のリーダー育成をめざして「松下政経塾」を開塾。1982年にはノーベル賞並みの賞をつくるという政府の構想に賛同して「日本国際賞」の創設に尽力した。

取材先 松下幸之助歴史館
取材 2020/11/18
掲載 リーダーシップ2021/01
探訪記 
 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki235.html

 ←雑誌「PHP」創刊号
 
  【140209】 木の家設計グランプリを開催する     

■日本建築のすばらしさを再発見し、さらに高めていくことをめざして、谷口工務店では何人か建築家の協力を得て「木の家設計グランプリ」を開催している。

■建築学科に学ぶ学生の多くは大手ハウスメーカーを目指すが、伝統的な木の家のすばらしさをもっと見直してほしい…という思いから始めたもので、建築学科のある全国の大学、専門学校、高校の学生を対象に、設計図と模型写真、プレゼンテーション動画での参加を募り、作品審査で上位に入賞した人たちを審査員が面接して各賞を決定。賞状と賞金を贈呈している。

■建築関連会社、新聞社、建築家養成学校…など数十の会社団体の協賛を得て、資金援助してもらっている。

取材先 谷口工務店
取材 2020/12/07
掲載 リーダーシップ2021/02
探訪記 
 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki236.html

 ←木の家設計グランプリの審査風景
 
 【140210】 創造力とやりとげる執念の大切さを発信する    


■インスタントラーメンを発明した安藤百福は、「IT全盛の時代になっても開発者にとって一番大切なのは想像力とそれをやり遂げる執念である」と言い、食品の基礎研究や革新的商品開発の功労者に「安藤百福賞」を贈ることをを決めた。

■また、大阪府池田市に「インスタントラーメン記念館」(現カップヌードルミュージアム)を建設。次世代を担う子どもたちに「発明・発見」の大切さを伝えている。 

取材先 日清食品
取材 2021/05/24
掲載 リーダーシップ2021/06
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki240.html
 
↑カップヌードルミュージアムの外観(左)。来館者は自分だけのカップヌードルが作れる。
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